「もしかしたらゆあは特質系じゃなくて、本来は違う系統かもしれないよ?◆」
「…そうなんですか?」
「その可能性はある」
もし『緋の目』がうまく制御できてなくて常に発動しているような状態だとしたらそれはありえるよ。とイルミさんは言う。
「でも、制御なんて…」
「そればっかりはどうしようもないかもね」
「どうやって使ったかもわからないですし…」
「怒ればいいんじゃないのかな?◆」
「…ってヒソカさん!?何を企んでるんですか!」
ニヤニヤと怪しい笑顔。
絶対なにか変なこと考えてる!
「ゆあはこれからどうするの?」
「…えっ、と…そうですね」
いきなり話しを振られてちょっとびっくりするがこれきっとイルミさんからの助け舟!ヒソカさんを無視して考える。
これから…考えてないわけじゃない。
「ハンターって、なんですか?」
「ハンター?」
「ゆあハンターになりたいの?◆」
「お母さんがハンターだったって…」
ハンターがなにかわからないけどお母さんがやっていたならわたしもそれになってみたいな、って。
イルミさんがハンターについて簡単に説明してくれた。美食ハンター、財宝ハンター賞金首ハンター…職業みたいにいろいろとあるらしい。
「でも…ゆあは無理だろうね◆」
「試験、そんなに難しいんですか?」
「うん。ゆあには無理そう」
「うっ…イルミさんまで」
そりゃあ、わたしまだまだだけど!
頭も悪いけど!やる前からそんな…
「本気でなりたいんだったら、俺の家で鍛えてあげようか?」
「えっ、イルミさんの…家?」
「そう。俺一度家に帰らないといけないんだ。」
「…帰っちゃうんですか?」
「(…子犬)」
イルミさん帰っちゃうのかあ…ようやく打ち解けてきたかも、と思っていたからショックだった。
「ゆあはボクが育てるからその必要はないよ◆」
「育てるって…」
「ヒソカなんかと一緒にいたら危険だろ」
「…あれ、話し聞いてます?」
「それはイルミと一緒でも同じだろ◆」
「…あのー、お二人共?」
「俺はヒソカとは違う」
「…無視ですか?」
「最初にゆあを拾ったのはボク◆」
「…わたし、ペットじゃないもん」
二人とも全くわたしの話しを聞いてない。育てるだの、拾っただの…本当のことだけど…だけど!ヒソカさんとイルミさんがまた険悪なムードになってきた。
そっと、絶を行う。
…うん。気づかれてなさそう。
こっそりと部屋をあとにした。
一階へと走る。
「マスターさんっ!」
「お、ゆあ。もう怪我はいいのか?」
「わたしマスターさんの子になる!」
「…はあ?」
わーん!と子供のようにマスターさんの懐へと飛びついた。優しく受け止めて頭を撫でてくれた。私のことをわかってくれるのはマスターさんだけ!
「またあの二人か…」
なんかようやく元通りになったなぁ。とマスターはため息をつきながらゆあの頭を満更でもないような顔をしながら撫でた。
「…ゆあがいない」
「…あれ?いつの間に◆」
「やっぱりゆあは暗殺者の素質がある」
「それはダメだって言ってるだろ?◆」
「決めるのはゆあ」
「決める前からわかってることだよ◆」
「………」
「………」
夜中までこのやりとりは続いたらしい。