07
そして半兵衛達をリビングに連れてきて十数分後、やっとこさルイスがやって来た。
「紫音さん!遅れてすいません!」
「あーもー、随分遅かったねルイス。どうせまた雪に足とられて転んだり階段で足滑らせて落ちたりしたんでしょ、その傷」
「あはは…面目ないです。………あれ?そこの方々は?」
ルイスはテーブルの上でルイスをじっと見ている小人達を指差す。
昔っからユニコーンが見えるとか妖精が見えるとか言ってたし、驚かないだろうなってのは分かってたけど、こんな平静だとは思ってなかったなぁ。
さすがイギリスの血を引いているだけある。
「見て分かるでしょ、小人よ小人」
「そうですね、小人ですね」
「ちょ、待ってくれよ、お前…えっと何て言ったっけ名前」
「ルイス」
「そうそう。ルイスは何で俺ら見ても驚かねぇんだ!?」
慶次の声に苦笑いするルイス。ベティを抱え上げてからゆっくりと話し出した。
「まぁ、理由は二つあります。一つは、僕は昔からユニコーンや妖精や小人…そういう類いのものが見えてたので、紫音さんの家にいても何を今更って感覚なんです。紫音さんにも見えているのは驚きましたが」
「否定しまくってたもんね」
「うっ…そ、それを態々言わなくてもいいじゃないですかぁ…僕にとってはトラウマなんですから…」
またこれだ。すぐ半泣きになる。前々からドジでヘタレな子だったしなぁ。もう17なんだからなんとかしなさいな。
「…で、二つ目は?」
「……あっはい。二つ目は数日前に僕も小人見たからです。今も連れてきてます」
「……はい?」
紫音は腰につけていた小さいバックを開ける。
すると、中からオクラ被った小人と、紫色の眼帯をした小人が出てきたのだ。
…おい。
「毛利君!?」
「元親もか!?」
「む…なんぞ、貴様らもここに来ておったのか」
オクラの小人が偉そうに言った。やっぱ知り合いかぁ…。
「ついでに言っとくと、俺らだけじゃねぇぞ、ホラ」
紫眼帯の小人は、バックの奥に手を突っ込んで更にもう一人出した。
ボブヘアの巫女少女だ。女の子もいるんだ…
「巫女殿まで…?」
「ぷはぁ!く、苦しかったです…ってあら?どうなされたんですか皆様お揃いで」
「…ルイス、アンタいつから…」
「だから数日前からですって…」
ルイスは深いため息をついた。苦労性だね。
(僕のため息の原因は6割貴方ですよというルイスの声が聞こえたけど、聞き流しておく)
「掃除してたらやたらとベティが騒ぐから何かと思って見たら、この三人が荒れた状態のベティに追い回されてたんですよ」
「…そうか。災難だったなお前ら」
「ご愁傷さまでござる」
「あんときゃ死ぬかと思ったぜ…」
紫の小人はどこか遠い目でベティを見ている。あんなのに追い回されりゃトラウマにもなるよね…ご愁傷さま。
ベティはルイスの腕の中ですやすやと眠っている。時折寝返りをうっては、小人達を盛大にビクつかせていた。
「ルイス、なんならその三人うちで預かろうか?ベティと同じ家じゃ可哀想よ」
「それもそうですね…どうしますかお三方」
「我は滞在させてもらうとしよう。また追い回されたらかなわん」
「では、私もお願いしますっ☆」
「おっ、おいお前ら…あー、世話になったなルイス、俺も此方に世話になるわ」
「そうですか。では紫音さん、お願いしますね」
「任せときー」
それでは、と言ってルイスとベティは帰っていった。結局ベティと小人三人衆交換しただけじゃないのこれ。
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