01
季節は冬、



しんしんと雪が降る夜の街に、白い吐息が消えていく





「(ああ、手袋してくればよかった…)」





悴んだ手に息を吐く。
そうすればまた消えていくばかり



雪の降る街を、ニット帽、耳当て、マフラー、ダッフルコートを着て歩いて行く



それだけ着てれば十分って?


馬鹿も休み休み言え。ってこういう時に使うんでしょうね。



今年の冬は寒さが厳しい。
この雪も、随分前から降続いてる…




そんなことを考えながら、私はコンビニで買ったココアを飲みつつ家へと向かった。


通りを曲がり住宅街に入ってすぐのマンション



そこの三階、一番奥の部屋が私の家。


エレベーターで上がり、家に向かう私の耳にふ不意に何かが聞こえた気がした



「…う…」



呻き声?
すぐに周りを見回すが、人らしきものは見当たらない。



「(気のせい…かな?)」



するとまた聞こえてくる。


通路には居ない…隣の部屋には誰も住んでいない。となると残りは…





外?


手すりから乗り出し、下を覗きこむ



積もった雪の上に、小さな小さな「何か」がある



その「何か」がピクリと動いたのが見えた気がして、急いで外階段を駆け降りた



雪の上にいたのは、手のひらに乗っかる程小さい人間…いや、小人だった



小人は4人。よほど寒かったのか、皆で集まって温めあっていた


私が近寄ると、小人の一人が警戒するようにこちらを睨み付ける
その顔は赤く染まり、今にも倒れてしまいそう


この寒空の下放って置く訳にはいかず、私は彼らを両手で掬い上げた。




「な…何の…つもりだ…?」


私を睨み付けていた小人が、力無く問いかけた



「こんな寒空の下にいたら風邪引いちゃいます。
一先ず私の家で休んでくださいな、小人さん」



彼は何か言おうとしてたけど、結局何も言わなかった。彼の他の小人達も、何も言わずに私に運ばれていた








「(借り暮らしの小人なのかしら…)」

小人の体温が上がっていく中、そんな呑気なことを考えていた


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