「(あー!!全部、長のせいだ!!!)」

物凄い早さで森の中を駆け、背後から迫ってくる敵から逃げる
服装はBASARA佐助の第二衣装の形で迷彩色だ。
異常なほどのミミズクが逃がさないように追ってくる

「(ここら一体のミミズクは躾済みってわけか…)」

さかのぼることほんの数分前だ
長である猿飛佐助から信州上田へ偵察の命で向かい、現場から怪しげな小筒を発見。
巨大な鴉(連絡用)に報告し、持ち帰ろうと手にした瞬間爆破
咄嗟的に身を翻したおかげで外傷はなかったが一斉に鳴くミミズクの大群と遭遇した。
襲ってきたので一応正当防衛として気絶させ逃走中

「…逃げる 駄目 掴まれ」
「また帽子やろうかっ!!」

長と同じ橙色に草色の帽子に忍装束
上杉の頭領程ではないが片言口調が目立つ

「しつこい男は嫌われるよ」

クナイと忍の刃が高い音を立ててぶつかり合う。
ふっと手の力を抜き、忍びは前につんのめり、あたしは体制を低くして奴の背後に周り、彼は咄嗟的に体制を変えた所で奴の腕をつかみ地面に押し付けた。

「……くっ」

女一人でも何十kgもある人間の全体重をかければ忍びだろうと馬鹿力じゃないと起き上がれない。

「見ない忍だな。あんた何者?真田の土地を無断で入られると困るんだよね」
「……我の台詞」

はぁ?なに言っちゃってんの?
真田の土地でこんな忍見たことない。
すんっと鼻を射すような火薬の臭い
すぐに彼から飛び離れれば火薬弾を投げた
彼は木の枝に飛び乗り、あたしは地面から見上げた

「我は猿飛佐助!!真田忍隊 頭!! 貴様、名乗れ!!」
「……、え?」

ちょ、なんのジョーダン?
なに長の成り切りってやつ?
確かに橙色で服装は似てるけど、似てないし頭の痛い子さん?

「……えーと、んー。…………本気で名乗ってるの?」

ぽりぽりと鋭利な鉤爪付き籠手で頭を掻いて確かめるようにそいつに言うと"是"という返答

「貴様、名乗れ!」
「……真田忍隊一軍隊長樋向 那月(ヒムカイ ナツキ)」

ほら、相手驚いて目見開いてんじゃん。
だからヤダったんだよー
全部長のせいだ。

♂♀

「ほぅ、真田忍隊を名のる忍か……」

興味深げにぼさぼさ男がじろじろと見つめる
白に近い青色の髪の女と紺のポンチョきてる忍
かすがを連想させる女と目に包帯を巻いてる小生
そんでもってあたしはぐるぐるに拘束されて身動きが取れない状態

「だからさー、何度も言ってるけど本物。おたくの長が嘘なんじゃないの?こっちの真田忍隊隊長が猿飛佐助って名前なんですけど」

へらへらした掴めない男じゃないしつか、あんなに内気じゃないし。

「大体、あんたが真田幸村だっつーのが有り得ない。」
「何を言う、幸村様は本物」
「外部は黙れ。あたしは偽真田幸村と話してるんだ」

てめぇらはすっ込んでろ、と一睨みすると肩をびくつかせた。

「あたしが仕えてる主もあんたと同じ名前だ。ただし、あんたよりもずっと若いしに初心中の初心。こんな変態じみたやろうじゃない。」

腹が立つ。
こんな野郎どものに真田の名と忍隊を名乗ってるのがだ。

「そこまで言うならその証拠っつーのがあるのか?」

"証拠"
ここに本人たちがいないから何ともいえないしあたしだけの証言だけでも
数人対あたしじゃ勝ち目はない。

「だんまり、ね…。あなた本当に真田の人間?」
「嘘 我ら 騙す 偽り」
「だーかーら……あ?」
「伝令!!!門にて不審者二人!!迷彩の男と二槍の」

伝令に来た忍の内容を聞いて目を見開いた。
忍特有の縄縛りをごとんっと外し、その場から消えた。
その場にいた忍と主達は動きが見えなかったのか驚いていた。

「見ていてくだされ!!親方様ぁああああ!!!」
「ちょ、旦那大将はいないって……!」

なぜか襲ってくる上田兵。
自ら名乗ってもそれを信じてくれない兵士。
どうなってんだ!?っと頭を悩ませながらも怒鳴る主に注意する

「(那月もいないし……)」

俺様運ない…と項垂れてる時に聞きなれた確かな声

「どきな!!!」

真田兵を遠慮なしに吹き飛ばし倒していく姿
俺様のお下がりの忍装束を改造して纏ってる彼女

「長!旦那!!!」

佐助達の目の前に姿を現した。
すぐに幸村は槍を下ろし、那月に駈け寄った

「ちょっと那月この状況は…あで!!」

ちょ、この子なんで殴ったの!?と騒ぐ佐助に那月は睨みつけた

「全部長のせいですよ!?偵察で上田に行ったら爆発に巻き込まれて気付けば旦那と長を名乗る偽物が現れるし!!!」
「偽物ォ?」
「むっ、それは本当か!」

うたがう目つきと喜ぶ目つき
なんでこんなにも主従が正反対なんだよ。

「そやつらがお主の言う長と旦那、か?」

屋敷の方からムカつく野郎の声がして甲賀手裏剣を構える

「某は真田幸村!!!貴殿が偽の真田幸村でござろうか!?」

そりゃもう堂々と言い放ったよこいつ。
長と那月は頭を抱え込んだ。

「否 偽物 お前ら」

敵対する猿飛佐助が那月達を睨みつける
それを押さえる様に真田幸村が彼の頭に手を置いた

「よいよい、彼らを客人としてもてなせ。詳しく話し合おうじゃないか。」

険悪なムードの中、真田幸村だけが笑っていた。

任務外は別途料金ですからね

(ええええ!?そりゃないぜ、那月!)
(……つーん)
(口で言ってもかわいくないからね?!)
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