赤椿 | ナノ
01
貴船の祭神、八百万の神がおわします。
その中で貴船の祭神は格式高く、社としての歴史も古い。

「見る限りそう感じないけどなぁ」
「ふっ…その神の前でそう言うか?」

祭壇の前に人型の高さん、椿、護衛として伐折羅と波夷羅。
様子見としてなぜか因達羅と真達羅がついてきた。

「ま、供物は酒で良かったんだろう?」
「ああ。」

酒瓶を受け取りさっそく飲み始め、口か飲んでから口角がつりあがってる

「良い酒だな」
「そりゃ、地酒だからな」

そのおかげで金がないがな、などと内心呆れながらも夜叉大将をみる

「まぁ新年のあいさつも含めてこれでいいだろう?」
「…ほぅ、地酒だけで終わりだと思ったか?」

酒を隣においてにやりと口角を上げて俺の方を見る
経験上、おそらく良いことが起こらない。

「…で?何をお求め何だ?神さんは」
「物分かりのいい子どもは好きだぞ、椿よ。」

神に手招きされては着いて行くしかなく高さんの目の前まで立った
すっと目を細められじろじろと全身を見られる

「大分ここには親しんでるみたいだな?」
「……そのことか」

気付けば夜叉大将たちの雰囲気も鋭くなる
飽きないおもちゃを見つけて楽しそうだった

「お前の雰囲気も丸くなってきてるしな、その壁もいつまでもつか楽しみだな」
「あーはいはい、それだけなら帰るからな」

適当にあしらって、髪を掻きあげる
高さんに背を向けて帰ろうとした

「まて椿」
「ん?」
「お前はいつまでその生活を続ける気だ?」
「………さぁ?俺の天命が尽きるまで、じゃないのか?」

皮肉めいたように、口角を釣り上げ高さんにそう言った。

「俺が、この性格をやめられることは一生ない。」

アイツが、あの人がまだいれば話は別だったが
なんて戯言めいたことを言っても彼女にはわからないだろう。

「また何かあれば、ここに来ればいい。こう見えても私はお前を気にっているんだ。」

だから、という言葉を言わずに、ジッと俺の目を見つめた。
言わなくても、通じるからだ。

"少しでもお前の捌け口になれるならば、お前が望む居場所をここで作ればいい"

「…は、神がそんなこと言っていいのかよ」

こんなの前代未聞だぜと言えば、彼女は綺麗に鼻で笑い、それがどうしたと返してきた。

「変わった神様、だな。」

でもちょっと嬉しかったのは内緒だ。
 

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