東三条を出て途中成親と昌親と別れ安倍邸に着く頃にはすでに夜が明けていた
「眠いなぁ」
昌浩は欠伸交じりに呟いて首を動かし、椿は数珠を受け取りじっと見つめた。
「(…あの僧、結局なんだったんだ?)」
また何かの問題で関わらなければいいが、と内心呟いてぐちぐち話している昌浩に数珠を見せた
「これ、どうするんだ?」
「あ、…あ〜じい様に報告しなきゃ」
「晴明に小言を食らうだろうがなぁ」
あまり気乗りしない昌浩に、にまにま笑いながら言うもっくん
椿の視界に白い鳥が入り、ひらひらと舞って手のひらに紙に姿を返る
「…末孫、呼び出しだ。」
「げっ」
紙を渡せば、文字の羅列を読んでいるのか口端をひくひくさせてはぐしゃりと握り締めた
「(まぁ読まなくてもおおよそは分かるか)」
盛大な溜息をつくところを見るとまた孫の様子を見て楽しんでいるんだろう、あの狸の陰陽師は
「ま、頑張れ。晴明の孫」
がっくしと両肩を落としながらも晴明の部屋に向かって報告をした昌浩だった
♂♀
数日後、末孫から聞いた話じゃ、突き落とされた子供はあの我が儘子供から謝罪の文を貰っただとか。
そして突き落とされた子供からお礼の文を俺は頂いた。
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