ある夏の日の話。
俺ら家族は、都市部の格差に耐えきれず山奥へ引っ越した。
「着いたね。」
「ここなら、ユーゴもきっと過ごしやすいはずだ。」
両親は俺の名前を呼び、笑いあった初日。
それから数日。
色々と一段落したとき、両親は「外に出ていいよ。」と言ったので俺−−ユーゴは外に出た。
*
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セミがうるさく鳴く山道。
涼しくユーゴにそよぐ風。
「あっちぃな〜。」
一旦、帰るか。
ユーゴはそう思った。
しかし、帰り道はどこだ。
右左上下に道を見渡したが分からない。
……どうやら迷ったようだ。
下を見ても固い道は足跡を残してはくれなかった。意地悪だ。
これは仕方がない、とにかく歩こう。
−−と思ったが、道に埋まるかのようにある大きな石がユーゴのつま先を鷲掴みにしたかのように、転んだ。
「ちくしょう……。」
思わず呟いた言葉に反応した者がいた。
「なに転んでいるのよ!思わず踏むところだったわっ!」
ユーゴは声の主を見ようとした。
風に煽られピンクのスカートの裾からは、深い緑色の短パンが見える。
そして、もっと目線を上に上げると綺麗なオレンジの瞳をした黄緑髪の少女が立っていた。
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