12月。クリスマス休暇を前に、ホグワーツの授業は一年度における前半部分の総括に入っていた。

今の時間は呪文学。わたしはフリットウィック先生の指示で、杖をひょいと振った。
白く光っていた電球が、ライトの色を赤、青、緑と次々に変えていく。点滅のテンポもチカチカとリズミカルに動き、目が痛くならないくらいの優しさで踊っている。

だんだん点滅の速度を速めてから…杖をもう一振り。すると 電球がパンッ!! と軽い音を立てて破裂した。でもガラスは飛ばずに、キラキラとした光だけがそこに散るだけ。空を飛ばせてくれる妖精の粉のように輝きながら舞うと、鈴の音を立てて床に落ちた。

最後にもう一度杖を振ると、落ちた粉が2カ所に集まり、その両方から太く大きな七色の光の柱が飛び出す。光の柱はまっすぐ天井まで上がってから角度を曲げ、アーチのようにつながった。虹の形を作る七色の光は教室中を明るく照らし、そして消えていく。後には何も────光の1粒さえも残らなかった。

ブラボー!!

フリットウィック先生の歓声と一緒に、それまで静まり返っていたクラスのみんなの拍手が爆発する。

「素晴らしい! "光の芸術を完成させる"────ルーモスとノックスをどこまで使いこなせるかと思って出した課題だったが、これを1年生でここまで華麗に魅せたのは彼女だけだった!! グリフィンドールに10点あげよう!!

それを聞いて、わたしは隣のリリーとハイタッチする。

呪文学でこの間出された課題は、光を操って作品を仕上げるというものだった。呪文学────特に低学年のうちは"妖精の魔法"とも呼ばれるその名の通り、わたしたちがこれまで教えられてきたのは光をチカチカと点滅させたり、小さなものをキラキラした粉に変える魔法だった。

今日の発表会で生徒が披露したのは、暗い教室の中でろうそくの火を大きくしたり、教室に溜めたホコリを照らして雪のように見せたり…そういった種類のもの。だからわたしは張り切って、自分なりに応用させた"色"とかの変化も混ぜ、ひとつのストーリーを組み立てながら発表したわけなんだけど…なんと最高評価をもらえた。昨日まで頑張って練習して良かった。

「じゃあ、今日の授業はここまで! クリスマス休暇が明けたら新しい単元に入るから、各自教科書の46ページから53ページを読んでくること」

そう言われて、休暇前の最後の呪文学が終わった。

「素晴らしかったわ、イリス!」
「うん、あれは最高だったよ。色を変えるのにコツはあるのかい?」

リリーが嬉しそうに褒めてくれる後ろから、落ち着いた優しい声が聞こえた。ちょっと首をひねると、そこにはルーピンとペティグリューがいた。話しかけてきたのは、ルーピンの方。

「わ、褒めてくれてありがとう。ええと…杖の振り方をね、ちょっと工夫するんだ」

ちょっと恥ずかしい思いをしながらも素直に褒められたことに礼を言うと(だってこの人は、イヤミやお世辞でそういうことを言わないから)、ルーピンはにっこり笑った。

「リヴィアの課題の発表、楽しみにしてたんだ。呪文学、得意だろう?」
「得意っていうか…芸術的な魔法が好きなんだ…」
「すごいな。僕、光を踊らせる魔法はどうしても苦手なんだ。良かったら今度教えてよ」
「もちろん、じゃあ代わりに今度防衛術、教えてもらっても良い? わたし、呪いがすごく苦手で…」
「オーケー、ギブアンドテイクだね」

闇の魔術に対する防衛術────どうやらわたしは戦いに使う魔法が苦手らしく、クラスでもトップレベルで上手なルーピンに教えてもらえるのはとても運が良い事だと思った。

「ところで────」
「ああ、ジェームズとシリウスなら授業が終わるなり消えたよ」

"消えた"というその言葉が、一瞬文字通り起こったのではないかと思った。もちろんホグワーツの中で姿を一瞬で消すなんてことはできないとマクゴナガル先生が教えてくれていたものの(そもそも外の世界でなら瞬間移動ができるというあまりの"魔法"らしさにわたしは驚いた)、あの2人ならそれに似たことが────例えば何もないように見える壁の向こう側の隠し通路を通るとか────簡単にできるんだろう、とわたしは半ば確信していた。

「あの2人、今度は一体何をやらかすつもりなのかしら。せっかくイリスが稼いだ10点を5倍にしてマイナスにするようなことしなきゃ良いけど」

リリーは2人の名前が出るだけでこれだ。もうじんましんのようなものだと、これについてはもうだいぶ前に諦めた。

「はは…そんなことないよ、と言えないのが申し訳ないね…」
「ルーピン、あなたからも言ってやってよ。まだ入学して3ヶ月も経ってないのに、あの2人ったらやりすぎだわ…」
「3ヶ月も経ってないからじゃないかな。あの2人にとってはきっと何もかもが新鮮で楽しいんだよ。それに、プリングルの罰則を受けてもケロリとしてるあの2人に僕が何を言ったところで、聞きやしないさ────」

同じだ、と思った。
わたしがリリーに対して諦めているのと同じように、ルーピンもブラックとポッターの行動にはもう諦めてるんだ。
カリカリしながら次の授業────薬草学へ向かおうとするリリーを追いながら、わたしはちょっとした同情の気持ちをこめてルーピンにほほえんだ。
わたしの笑顔の意味をただのあいさつだと思ったらしいルーピンは、やつれた顔をして手を振ってくれた。なんだかその顔がやけに疲れて、というより病気にかかっているようにさえ見えたけど(こころなしか、せっかく先月治っていたはずの傷がまた増えている気がする)────それだけあの2人はてごわいということなのだろうか。ペティグリューはルーピンの隣で、ずっと興味深そうにわたしたちの奇妙な対立の仕方を見ていた。










その日の夜、夕食を終えた後、リリーと別れわたしはひとりで校庭へと向かった。
飛行術の自主練をするつもりだったのだ。

フーチ先生の許可はもちろんとってある。先生は最初わたしに付き添うべきか迷ったみたいだったけど、先生は先生で忙しいし、一応わたしもひとりで箒に乗れるレベルには達していることもふまえて、箒の持ち出しを許可してくれた(もちろん、「頼れる上級生がいれば同行してもらうように」とは言われたけど)。

与えられた時間は19時からの1時間だけ。それが終わったら、わたしは寮に戻る(20時になると、許可証として与えられた羊皮紙は自動でフーチ先生のところに戻るようになっているそうだ。その時に箒が揃っていなかったらアラームが鳴ります、とおどされた)。
これができたのは、きっとわたしの普段の素行が良いからだろう。あとはこれで才能ももう少し備わっていれば、こんな風にご飯を食べた後でそれが全部ひっくり返るような思いはせずに済むのにな────そんなことを思いながら箒小屋の扉を開けると────。

うわっ!
誰だ!
えっ!?

暗闇の中から、2人分の声が聞こえた。わたしも咄嗟に声を上げ、杖を抜いて明かりをつける。

そこにいたのは、ブラックとポッターだった。2人とも杖を構えて、同じように明かりをつけてわたしを見ている。

わたしたちは互いを認識すると、黙って杖をローブにしまった。少しだけ、気まずい沈黙が降りる。

「────何してるんだ」
「わ…わたしは飛行術の自主練で…っていうか、2人こそなんでここに?」
「僕たちも、飛行術の自主練さ」
「…一応訊くけど、フーチ先生の許可は?」

2人して、黙り込む。

「…生徒が自ら勉強したいと言っているのに、それを許さない先生がいると思う?」

ポッターが苦し紛れにそう言った。まったく…何のための規則だと思ってるのか。普通、1年生が夕食後に校外に出ることは許されていない。まだ魔法もろくに扱えない新入生は、他のどの学年より厳しい管理下に置かれているのだ。「何をしでかすかわからない」からという理由は、しごく最もだと思っていた。
特に校庭は禁じられた森や暴れ柳など、危ない場所にも続いている。禁じられた森には危ない野生の魔法生物がいるというウワサがあるし、暴れ柳は────なぜか知らないけど、わたしが入学した年に植えられた植物らしく、近づくものをその太い枝を文字通り暴れさせて攻撃してくる、とっても危険な木だ。入学したばかりの頃は、男の子たちが面白がって"幹に触ろうゲーム"をしていたけど、、デイビィ・ガージョンという男の子が片目を失いかけて以来、生徒が近づくことをハッキリと禁止されるようになった。

そんな"ちゃんと理由のある規則"を無視して、しかも真っ暗な箒小屋の中にこもって自主練? 2人はまさか、こんな狭い場所で明かりもつけずに箒に乗るつもりだったの?

────という文句は、全部のみこんだ。
いらない対立は、いらない評価下落のもと。

ブラックが背後にサッと何かを隠したのが見えたけど、わたしはそれすら見ないことにした。

「リヴィアは、フーチの許可を取ってるのか?」
「うん。許可証もあるよ」
「はー、エバンズと同じで真面目とは思ってたけど、まさか夕食後にまで練習とはね…。しかもきみ、飛行術がそこまで苦手ってわけじゃないだろ?」

飛ぶのが上手なポッターにそう言ってもらえるのは嬉しいことだったけど、わたしは"わたしの水準"…いや、"リヴィア家の水準"に達さない限り「苦手じゃない」とは口にできなかった。つまり、試験で先生がにっこり笑うレベルじゃないとダメってこと。

「なんでそこまでする? 成績がそんなに大事か?」

ブラックの指摘はいつも通り鋭い。まるで彼らにとっては成績なんてたいしたことない、と公言されてるみたいだ。

「────大事だよ」

でも、これはリリーがポッターたちを嫌うのと同じ道理。わたしにはわたしの価値観があって(わたしが作った価値観じゃないけど)、それを妨げるものを許せない。たとえそれが、自分自身であったとしても。
だからわたしは、"苦手な科目"を差し置いてベッドでゆっくり横になるなんて、とてもできなかった。こうして誰よりも努力して、必死で「平凡じゃありません」とアピールすることでしか、家の期待には応えられない。

「ということらしいぞ、シリウス。どうやらリヴィアのお勉強の前に、僕たちの"パトロール"は邪魔になるだけらしい」
「パトロール…?」

一体何を、と思ったその時だった。

こんな時間に1年生が何をしてる! 夕食後に校外に出るのは禁止だと、先生からの言いつけを聞かなかったのか!

校舎の中から、メガホンで拡声したんじゃないかと思うほどの大声がとどろいた。わたしたちは3人、箒小屋の前でびくりと体を跳ねさせる。

声の出元は、さっきルーピンも口にしたプリングル────ホグワーツの管理人だった。
規則に厳しく、破った生徒には容赦なく罰を与える。生徒にとっては寮の点を減らされることも辛いことだったけど、プリングルにつかまることもそれと同じくらい辛いことだった。何しろ、ムチで打たれたりするとかいうウワサがあるのだ(それが本当かは知らない。ポッターとブラックは今のところ書き取り罰則しか受けていないと言ってたけど、それが本当かも知らない)。

わたしたちがモタモタしている間に、プリングルはどすどすとこちらへ向かってきてしまった。ポッターとブラックが頭の中であれこれと言い訳を考えているのが、小声でささやきあっていることから伝わってくる。

「さあ、さあ、一体こんな時間にそんなところで何をしてたのかね。箒に何か細工でもするつもりだったのか? え? グリフィンドールのチビども。フーチ先生に今すぐ言いつけて────」
「プリングルさん、わたし、その件でここにいるんです」

とっさに、わたしが口を開いた。ローブのポケットからフーチ先生の"許可証"を取り出し、プリングルに見せる。

「あの、わたし…飛行術が苦手なので、空いた時間に練習したくて。そしたらフーチ先生が、19時から1時間だけ自主練習を許してくださったんです。これがその許可証です。先生からは、飛ぶのが上手な生徒がいれば一緒に行って教わっても良いって言われていたので、それで────」
「それで、同学年のどんぐりをころころと転がして、無様に背比べでもしようとしてたわけか?」
「いえ、ブラックもポッターも1年生の中では抜きん出て飛ぶのがうまいので、まだよく知らない上級生にお願いするよりずっと頼みやすかったんです。…こんな時間に1年生3人でいることがあまり良くないのはわかっています。ですが、正当な手続きは踏んでいるので、もしお疑いになるのでしたら直接フーチ先生に確かめてください。わたしを連れて行ってもかまいません」

────その時スラスラとわたしの口から言葉が出てきたのは────こう、あんまりこういうことは言いたくないんだけど…相手がプリングルだったからかもしれない。つまり、評価や成績を気にしなくて良い相手ということ。

ブラックとポッターまで庇ったのは、前にも同じようなことがあったけど…"寮"の評判を落としたくないがためだった。2人が何をしているのかなんて知りもしないけど(さっき"パトロール"って言った?)、先生の許可があるか尋ねた時の反応を見るに、2人が正当にこの場に立っているとはとても思えなかった。

こういう時、昔から養ってきた"社交性"は本当に役に立つ。
もちろんわたしは嘘をすすめるような家庭では育っていない。でも、印象を良くするために────そして、有望な人脈を作るために、時には自分をより大きく見せることも重要だ、とは言われていた。

その結果が、これ。
プリングルは、フーチ先生の筆跡でつづられた『イリス・リヴィアに12月18日19時より1時間、校庭での飛行術の自主訓練を許可する』という紙を穴があくほど見つめていた。まるでわたしがこれを偽造したと思われてるみたい。そんなに疑うなら、本当にフーチ先生のところに連れて行ってくれれば良いのに。誰かに助っ人を頼んでも良いって言われたのも本当だから、痛くもかゆくもないし。…まあ、この2人は"上級生"ではないから、連れて行くならわたしひとりにしてほしいところだけど…。

「…フン、まあ良いだろう。ただし後でマダム・フーチには私から確認をしておくからな。その時にお前がその許可証を正当に手に入れたのではないとわかったら────」
そんなことがあれば、わたしは進んで管理人室へ行きます、プリングルさん」

そこまで言ってようやく、プリングルはドスドスと校舎へ戻って行った。

完全に姿が見えなくなってから、ようやくわたしはほっと息をつく。

「はー…怖かった…」

時計を見ると、この余計なゴタゴタのせいで20分も浪費してしまった。あと40分で、どこまで一体成長できるだろう。そう思ってもう一度箒小屋に入ろうとすると、ブラックとポッターが揃って「リヴィア」と声をかけてきた。すごい、今のシンクロ、本物の双子みたい。

「なに?」
「その────ありがとう、かばってくれて」
「助かった」

かばったとか助けたとかいうよりは、わたしが全部わたしのためにしたことなんだけどね。
────とはとても言えないので、わたしはただにっこりと笑った。

「20時を過ぎたらもう助けられないから、ほどほどにね」
「その…良かったらなんだけど、その正式に許可された時間を使って、僕らもきみの練習を手伝おうか?」

すると、ポッターがおずおずと────こんなことは初めてだ────箒小屋に自ら入り、3本の箒を手に出てきた。

「…えっ?」
「今日見つかったらちょっとヤバかったからさ、ほんとにありがたいって思ってるんだ。僕はきみの飛行術、ロジャーに比べれば全然マシだって思ってるけど…それでも、きみがやりたいって言うんなら、きみの飛ぶ時のクセを指摘することくらいはできると思う」
「僕は落ちないか見張ってることくらいしかできないけどな」

2人がまさかこんな親切な申し出をしてくれるなんて。よくわからないけど、わたしのデマカセがなかったら本当に2人は"ヤバかった"んだろう。

「ええと…でも、良いの? その…なんか、パトロールとか言ってたけど…」

ついでにその"パトロール"の意味を聞けやしないかと思って言葉に混ぜてみたけど、2人は顔を見合わせていたずらっぽく笑うだけだった。

「うん、良いんだ」
「もうこの辺は"パトロール"し終えた。もう今後、無理して夜に校外に出ることはないだろうさ」

どうやら、まだその"秘密"を共有するほどの仲だとは、まだ思われていないらしい。
気にならないわけではないものの、ポッターやブラックがわたしよりずっと飛行術に長けていることはとっくにわかっていたので、2人が良いと言うなら喜んでお言葉に甘えさせてもらうことにした。

2人は暗闇の中でも、的確にわたしのクセを指摘してくれた。
飛ぶ時に地面を強く蹴りすぎだ、とか、左折する時に頭を振るな、とか、大抵はそんなささいなこと。
でもその"自分でもわからないくらいささいなこと"を意識するだけで、グンと自分の技術が上がっているのを感じた。

30分後、地上に降りて箒をしまう頃には、ひとりで練習するよりずっと有意義な時間だったと思えるようになっていた。

「ありがとう。ブラック、ポッター」
「いやいや、こちらこそだよ。イリス
イリスがいてくれなかったら、僕たちは今頃退校処分にすらなってたかもしれないな」
「何しろ、夜に校舎外に出てとっつかまるのは────あー、これで何回目だ?」
「5回目だ、ジェームズ。まあ今日は未遂に終わったから正確には4回だけど」

会話の内容もかなりとんでもないものだったが────わたしはその時、彼らのわたしに対する呼び方が変わったことの方に気を取られていた。

「ということで、きみは僕たちの救世主だ。前にもマクゴナガルの課題をこっそり教えてくれたしね」
「いやはや…優等生さまさまだな」
「今後もこんな風に"連れ出してくれる機会"があるなら、いつでも呼び出してくれ。最初の20分だけ自由にさせてくれたら、残りの40分はきみの練習にいつでも付き合うからさ」
「聞けば、防衛術はリーマスに教わる約束をしてるんだろ? どうせなら、そういう"実践訓練"に呼び出してくれても良い」

一度だけわたしを名前で呼んだ後、2人はまるでそんな小さな変化なんてなかったかのように、いつもの冗談を飛ばしていた。

でも────わたしは確かにこの瞬間、彼らとの距離が少しだけ縮まったことを確信していた。

「イリス、お友達を作る時は相手をよく見極めてね」

──── 一瞬、お母さまの声が頭に響く。

たぶん…この人たちは、お母さまの望む"お友達"じゃないと思う。

でも────でもさ。

「あのプリングルの顔、見たか? イリスにフーチの許可証突き付けられて」
「ああ、羊皮紙に鼻先の油染みで穴があくんじゃないかと思ったね」
「僕はむしろあの視線で焼き焦げをつけるんじゃないかと思ったよ」
「でもまさかイリスにそんな度胸があったとはな」
「社交性って言ってよ…わたし、すごいもう…ドキドキしてたんだから…」
「ご立派な社交性だな」

笑いながら寮に戻る道すがら、軽口を叩き合って笑うのがとっても楽しくて。

「じゃあな、イリス」
「おやすみ、イリス!」

「お嬢様は、お嬢様自身が感じたことを大切にし、お嬢様自身の学びを大切にしてください」

────迷うわたしの背中を押してくれたのは、入学式前日にパトリシアがくれた言葉だった。

「…おやすみ、シリウス、ジェームズ

2人は一瞬立ち止まり────それから揃って、ニヤッと笑った。



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