こんな私ですが。



私、名字名前!
海常高校2年生ですっ。
バスケ部のマネージャーしてるの。

充実した毎日だけど、実は悩みがあって…。
それは………



「びぇぇぇぇぇぇぇぇん!」

どたどたどたどた!


「寝坊したぁぁぁぁっ」

そう、遅刻が多いこと。
正直可愛く自己紹介してる場合ではない。


「やばいやばいやばい」

もう今月入って何度目だろ!?
いい加減やばいってー!



ガラガラッ。

「セーフ!?」
「アウトだ馬鹿者」
「ギャース!」

必死に駆け込んだ教室。
ギリギリだめでした。


あぁクラスのみんなが笑ってる。
早川、こっち見んな!


「名字…」
「は、はい…」

「また遅刻したな」
「すみません…」

「放課後職員室へ来い」
「ほっ放課後は部活が…!」
「安心しろ。主将には言っておいてやる」

次の授業はあいつのいるクラスだ、なんて先生が言う。


でもね先生…
それが一番ダメなんだよぉぉぉ!



「オワタ…」
「寝坊する名前が悪いんでしょ」

サラリと言うマイフレンド。

「好きで寝坊してるわけじゃないんだよ!?」
「はいはい」


昼休みに購買へ向かう私たち。
気が重い…。


「放課後かぁ〜…」

ため息をつく。

「部活行けないのがそんなに嫌なの?」
「それもあるけど…」

「けど?」
「遅れるとうちの鬼主将に何されるか…」

「鬼主将って…」
「肩パン喰らうよ!もう鬼並みの怖さだよ!」

あぁー憂鬱…。

「そんなに怖い鬼主将って誰だ?」
「鬼主将って言ったらそりゃあ、かさま…」

あれ?
今の声…。

なんか首が動かない…。
頭を掴まれてるような…。


まままままさか!?


「で、誰だって…?」

頭を離され、ぎぎぎと首を鳴らしながら振り返る。
そこには…。

「きゃ、きゃぷてん…」

「よう名字」

我らが主将、笠松幸男さんの姿が!


「笠松先輩、こんにちは」
「おぅ」

っておい!
何のん気に挨拶してんのマイフレンド!?

「聞いたぞ名字、また遅刻したらしいな」
「え、えへへへ!それはでしゅね!」

噛みながらも必死に弁解するアテクシ。
しかし主将は…。


「しかも呼び出しらしいな」
「そう…みたいでちゅね」


「そうみたいじゃねーよ!バカかお前は!」
「ひぇぇー!ごめんなさい!」


容赦なく頭を殴りました。


「ったく、呼び出しの後部活来いよ」

先輩はため息を吐きながら言う。

「も、もちろんでございます」

「部活後は1人で体育館のモップがけだからな」
「げっ…」
「文句あるか」
「いえ!喜んで!」

厳しい睨みを受け、私は敬礼した。


そうして鬼、いや、笠松主将は去っていきました。
にやにやする友達と、真っ青な私を残して…。



放課後。

たっぷり説教され、げっそり痩せた私は、とぼとぼと体育館へ向かった。


「お疲れさまでーす…」

「あっ名前先輩!お疲れさまっス」
「名前、災難だったな。疲れただろう。さぁオレの胸に…」
「説教随分長かったな!」

「…早川は黙れ」

「オ(レ)だけ!?」


声をかけてくる部員を適当にあしらい、仕事をする。
もちろん監督には怒られましたとも。


「今日はここまで!」

笠松先輩の声がして、部員が集まった。
監督の話を聞き、解散。


まぁ…私はこれからモップかけなんですけどねっ?


「じゃーな名字!」
「ファイトっス!」

「ばいばい黄瀬くん」

「オ(レ)は!?」


部員が帰ってしまい、1人モップをかける。

「あぁー…私のばかー」

何度も寝坊して…
呼び出しくらうし…
モップかけ1人だし…。


…でもめげない!
明日こそ早起きしてやる!

「やったるでぇぇぇ」

気合いを入れて、走りながらモップをかける。
我ながら良い走りだ。



「終わった…」

広かった…。
さすが体育館。


片付けをして、着替えて体育館を出る。
すると

「ひぃ!?」

いきなり首筋に冷たい感覚がした。
びっくりして振り返る。

「何す…って笠松先輩!」

「よう」

先輩がいました。

「ちゃ、ちゃんとモップかけましたよ…?」

また何か怒られるのかとビクビクしながら様子を窺う私。
まるで仔羊のよう。


「知ってるよ」
見てたからなと笠松先輩は言って、持っていたジュースを投げてくる。
さっきの冷たさの原因はこれか。


「先輩、これ…?」

「モップ頑張ってたからな」

ふんと素っ気なく答える先輩。

まさか先輩が奢ってくれるなんて!
あ、怪しい…。
何か裏があるんじゃ…。


「ねーよっ」
「はひ?」

「てめぇ人の好意を…」
「あれ?今私…」

「声に出てた」
「はぅっ…」

やらかしました。
心の中が口からだだ漏れだったようです。

先輩の眉間の皺が怖い…。
泣きそうだ。


「ったく…ホラ帰るぞ」

「…え?」

「何がえ?だ。帰るっつってんだろ」

よく見ると先輩は自転車を引いている。

「あのーもしかしなくても先輩…」

「んだよ」

「待っててくれました?」

そう問うと、ちょっと頬を染めた先輩。
あれ、なんか可愛いぞ。


「遅くに女子1人帰らすわけにはいかねーだろ」

「先輩…」

じ、じぇんとる!?
先輩が優しい!
何なの罠なの!?


「声に出てるっつの!」

ばしっと頭を叩かれる。
痛いっす先輩。


「すみません…」

「…行くぞ」


「でも待ってるなら手伝ってくれたって…」

「それじゃ意味ねぇだろ」

お仕置きの、なんて言って先輩は歩き出す。

ですよねーと言いながら私は着いて歩いた。

もらったジュースを
ごくごく飲みながら。
うん、うまいぜ。



「ありがとうございました」

「おう。明日からは寝坊するなよ」


先輩は結局家まで送ってくれた。
辺りは暗くなっていて、確かに少し怖い。


「もちろんもう遅刻なんて!」

私はぎゅっと拳を作り先輩に応える。


「よし。じゃーな」
「お気をつけてぇー」


ブンブン手を振りながら、自転車を漕ぐ先輩の後ろ姿に手を振った。


「ただいまー」

と言っても誰も返事はしない。

海常高校に通うために1人暮らししているから。
さ、寂しくなんかねーよ!?


「ただいま亀吉」

寂しさを紛らわすために飼ったペットの亀に声をかけ、着替えた。
(やっぱり寂しいんじゃんという声は無視します)



明日は早起きしよう!
目覚ましを早めに設定し、早めに布団に入る。


「おやすみなさーい」


電気を消すとすぐに眠れました。







★★★★★★★★★★★

100905

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