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「大地くん、部活お疲れ様」
「ありがとな」
「なんか顔疲れてるね」
彼女に覗き込まれて、今日も大変だったと思い返す。
「なかなか部員がまとまらなくてな」
教頭のヅラを何回飛ばせば気が済むんだあいつらは…

「そうなんだぁ、大地くんは心配させられがちだね」
「…お嬢さん、あなたに言われたくないですよ」
「えぇー」
先日の体育で派手に転んだ(清水談)膝の大きな絆創膏を見ながら溜息をつく俺を、アイスを片手に呑気に笑う。

「でも大地くんなら大丈夫だよ」
「何が大丈夫なんだよ?」
「しっかりしてるし優しいし、すぐまとまるって」
「だといいけどなぁー…」

ハァーと空を見上げてから隣の彼女に視線を戻すと、持っていたアイスが溶けかけてぼたぼたと手に伝っている。
「あー!ほら、早く食べないからっ」
「うわぁ〜どうしよう」
「ティッシュ!まず拭きなさい!」
慌てるその手にポケットからティッシュを取り出して拭き取ってやる。
「…あははは!」
「笑ってないで拭きなさいよ」
制服に垂れないように急いで拭っている俺に対して、当の本人はけらけらと楽しそうな声をあげるので、ついジロリと睨んでしまった。
でもそんな視線は物ともせず、だって大地くん…と笑顔を俺へと向けてくる。

「ほら、優しい」

敵わない。
この子と向き合っていると時間の流れも、気持ちの焦りも、全部穏やかになっていく。
気付けばまだ少しベタつく手のひらを握り、俺も笑顔になっていた。

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210315

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