残った禍根
「一人に対してあれだけ攻撃してもこたえねェんだ。コイツら全員まともに相手してちゃこっちが消耗しちまうだけだ!!」
「――そうか、それもそうだ。ここが最終戦じゃねェもんな」
「この広間をまっすぐ抜けると……、おそらく中庭に出られるわ」
「確実で迅速に…。ルフィくん、個人戦を提案します」
「よし!じゃ、おれ達4人中庭で落ち合おう。また誰か消えねェ様に気いつけろよ!!」
「ふふ…そうね」
「了解、船長」
ルフィの「いくぞっ!!」を合図に、4人一斉に戦闘の体勢に入った。キアーラも思いっきり地面を蹴り上げ、初めに目に入った大柄なゾンビを左手で殴りつける。ただ、今回のこれは倒すのが目的ではなくてこの場を切り抜けることが最優先事項であるため、武器を錬成せず体術のみでゾンビをあしらった。というより、ゾンビが多すぎて手合わせ錬成するモーションもする隙がなかった。
「っ…、出た!!」
やっとの思いで中庭まで出ると、同時にフランキーとロビンも多少傷を負いながらも切り抜けてきたようだった。船長をのぞいて。
振り返ってゾンビたちの中から捜してみるものの、ルフィは鎧を着ているために、ゾンビと同化して全く見分けられやしない。
ガコン、ぎゃああああ!!
「…?」
広場に目を取られていたその時、広場の出口横にある小さな穴からガラガラと鎖に繋がれた棺桶が流れてきた。
「フタを開けろ!!出せ!!」
「は、あの声ルフィくん!!?」
「え!?まさかアレに麦わらが入ってんのか!?何やってんだよオイ!!あのバカ捕まりやがったのか!?追うぞニコ・ロビン、鴉!!」
まさかの船長捕縛。キアーラは叫ばないものの、内心「ルフィくんのバカヤロー!!」と罵倒しながら流れる棺桶を追いかけた。
キアーラは錬金術で棺桶を流す鎖を切ろうとするが、その案はすぐ消える。数メートルの範囲内であればまだしも、棺桶とは数十メートルも離れており、シンの遠隔錬成を習得していないキアーラには離れた場所にある鎖を分断するなど出来るはずがなかった。
さらに、そんな中現れたサルともクモとも言い表せないゾンビに道を塞がれていまう始末。
「っ、くそッ!」
悪しくもキアーラ達の願いは届かず、ルフィを入れた棺桶は壁の向こうに吸い込まれていった。
「前方におれ、後方にヨロイの戦士達だ…!
―――これで一味は全滅だな」
「「「!!?」」」