「蒼ちゃーんおっはよ…ってどうしたの?!」
『何が…?』

與儀、朝からテンション高すぎて頭に響くよ?悪気はあるわけないのは分かってるけど正直きつい。


「おはよう蒼。ねぇ…」
『おはようツクモちゃん。どうしたの?』
「蒼…鏡見た?隈が酷い」
『クマ…?』

ほら、そう手鏡を渡されて覗き込んだら死人が起き上がったような立派な隈。どおりで與儀が騒ぐわけか。


「眠れなかったの?蒼ちゃんまだ此処は慣れない?」
『慣れないわけじゃないけど、』

心配そうに眉を下げる與儀は些細なことでものすごく心配性。

正直あれからまともに寝れたためしがない。また彼に会ってしまいそうでそれを頑なに拒む証拠がいよいよ顔にまで浮き出てしまったらしい。


「んー、やっぱりこういう時は美味しい御飯いっぱい食べた方がいいよね!」
「蒼、目の下、大丈夫?」
『大丈夫』

无君にまで心配されるとかかなり心苦しいものがある。
いい加減睡眠が浅い生活にも慣れなきゃいけない。


「アラ、遅かったじゃな…って蒼どうしたのその顔!」
『大丈夫だから「その顔のどこが大丈夫なのよ!それじゃあ綺麗な顔が勿体無いわよ?!」』

もっと自分に興味を持てとまで言われてしまった。手早く私の隈を隠してくれるイヴァは確実に女子力が高い。いや、お互い女子とは言い難い年だけど。


「さっすがイヴァ姉さん!」
「アタシの手にかかれば朝飯前よ!ていうか蒼、日に日に顔色悪くなってるとは思ってたけどさ?私が言うのもなんだけどちゃんと寝れてる?添い寝したげよっか?」
『いや、そこまで重症じゃないです』
「あ。まーた敬語」
『え』

ごめんと零せば何故かぎゅっと抱き締められた謎。イヴァの豊満な胸が更に息苦しくさせたけどあえて言わない。ていうかイヴァ、ものすごい女子な匂いがする…。


「朝から熱烈だな」
「おはよ」
「おはようイヴァ…蒼」
『おはようございます』
「…上手く隠してもらったようだな」
『……』

サラッと腹立つけど顔には出さなかった。いつものことだし。


「…蒼?」
『ごめん、ちょっとぼーっとする』
「お前、マジで病気なんじゃね?」
『煩いよ花礫』
「心配してやってんだろーが。言われたくなきゃシャキッとし…っ痛?!」
『あ。ごめん足が滑った』
「…テメェ」
『ごめんなさい足が長くて』
「…ぶっ殺「花礫!殺す、ダメ!」わーってるよ小動物!!」

あの花礫にまで心配されてしまった。本格的に立場がない。


それくらいにしておけと平門の一声によって場は収まったけど相変わらず頭はぼーっとしている。気を抜いたら本気で睡魔に引き込まれそうだ。


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