「っし!じゃあ緊張解れたことだしお茶すっか!」
『すいません私の目が正常ならそれワインですよね?』
「んな固いこと言うなって〜」
『…私お酒飲めませんソフトドリンクがいいで…ってな、に…飲ませようとしちゃってるんですかねぇ…?』
「ハッハー!うちはアルコールオンリーだか「朔」」
『あ』
「朔、俺は蒼の話し相手になれとだけ言ったはずだが」
「おー平門早かったな!」

え。どっから来たの?殺気も気配も感じなかったんだけど。ていうかさも当たり前のように佇んでいるけどおかしいよねこれ。


『平門…?』
「悪いな蒼。コレが振り回して」
『もはや返す言葉もありません』
「うーわ、辛辣だなぁオイ」
「当然だ。わざわざ自分の艇にまで連れいけとは言っていない。ただ話し相手になれとだけ言ったはずだが?」
「へいへい…あぁ、とりあえずそういうことだ蒼」
『どういうことになるんですかもうアルコールにやられたんですか酒豪の名が聞いて呆れますよ』
「本当のことだろ、蒼」
『!』

さっきから聞いてるんだか聞いてないんだか分からない朔に躊躇いなく言葉を被せるけど突如声音が変わったことに少しびっくりした。


「…いいな?」
『分かってます…』

ならばよし、そう言いながら幼子を撫でくり回すような手つきはやっぱり納得し難いけどこの人は、そういうやり方で部下を動かしているんだと思った。反論しようだなんて思わせない雰囲気は平門とはまた違う。


「…行くぞ、蒼」
『え…ちょっと待っ、』

て。そう言い終わる前に体を抱き寄せられたと思えばあっという間に生活居住区の貳組に戻っていた。
さっきから言葉数が少ないと思っていたけど


『平門…?んぐっ?!』
「…まったく」

ぬっと顔を寄せてくるより先に顎、じゃなくて掌で口を覆われた。何、何がしたいのこの人言動が謎すぎる。そんな私の思惑が顔に出ていたのか平門はどことなく鼻先で笑っているというか…

(この顔…真面目に腹立つっていうか)


「…心配させるな」
『って…!何で口塞ぐ意味が分からない!』
「成る程、言葉が拙くなる程不安だったわけだな朔と二人になるのが」
『…その眼鏡割って差し上げましょうか糞眼鏡様』
「心外だな。花礫と同じことを言うな」

ていうか遊んでるコイツ私の反応絶対楽しんでる。
だけどさっきまでの緘黙が嘘のようでもしかして気のせいだったのかもしれない、そう思うに留まった。

まさか朔と私のあの短い対話の横で酷く冷徹な目を向けられていたなんて思う訳がない。


Psychedelic
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