お酒はずいぶんと前にとめられた。
起きあがレない日がつづいている。もうろうとした中ではそれがなん日になるのかよくわからなかった。へやのなかは湿気てうすぐらくどこかかび臭い。
手足がしびれてちからがはいらない、いヤぜんしんが倦怠におかされている。
悪心をくりかえしてたまに胃えきと血をはきだすひどくつかれた。
もう刑部さんは昼でも夜でもぼくのソバでにらんだり呪ったりといソがしい。
今日はまたいちだンと楽しげにぼクを嗤っている。

「っひ、ひぃ、刑部さん許し、ぼくをユるしてよ、」

刑部さんは怒りの表情で、怨みの表情で、呆れの表情で、憎しみの表情で、楽しげな表情で、悔いる表情で、憤りの表情で、ぼくにむかってのばすケガレをしたたらせた指。をふりはらおうと思って ぎくりと強ばっただけだ た。
ざらっとした晒し木綿がくびに かみらつく ひとえにふたえに

「っひ、っヒ、ぼく、なにも、かひゅっ、ぁるいこ、してな……っひぃ」

息を吸ってるのにいきガできない
じわじわとちからがこめられる  ほ゛くをのぞきこむシ
ロいめ だまがひかつている よるが勹儿

「っひ、ひ、ぁふ、っか、ひゅ、」

ぼくまちが っテたの

ぼくは


广

彼は摩訶不思議なる力を手にしていたのか、そうでないのか。
病に爛れた痩身を白布で覆い隠し、その奥に灯した眸は陰と陽が逆しまに彩る。
奇異なる見目に人らは彼を恐れてそこに禍つ力を見出した。

ひとつ、ふたつ、と謀りを巡らせ、謡うように不幸を紡ぎ、軍師らしく占星術を修めていたが、真実まじないに通じていたのかは定かではない。
今更知る術も無いのだから。
しかし――、
彼は間違いなく本物だった。
彼の呪法は玉瑕無く仕上がった。
彼は、
 
――吾此恨を報ぜん

確かに言葉一つで人を殺してみせたのだ。
狂乱の末の死に様は惨たらしい有様であったと云う。

(6/6)
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