短編 | ナノ

「俺なんでもするからぁ。お願い、ここにいさせてよぉ、天龍寺」


俺は天龍寺の足に縋りつく。
天龍寺は俺をまるで芋虫でも払うかのように足を動かしたが…
俺は頑張って縋り続けた。


「はー、相変わらず、天龍寺くんはきびしいねぇ。
天龍寺君の興味って、ここいらのナンバー1の族くらいしかないもんね。後は面倒だの、なんだの…。

俺たちに喧嘩売ってるところも無視するんだから」

三井さんは、俺たちを見てクスクス笑う。


ん?天龍寺の興味はナンバー1の族?
これはいいこと聞いたぞ。メモメモっと。

ん?ここいらのナンバー1の族って…俺のところ…だよね?


「ナンバー1って、もしかしてバタフライ?彩とかいうところの…」

思ったことを口にすれば、三井さんも天龍寺も目を見開き俺を見つめてくる。
あ、あれ…
俺変なこと言った?


「なんでお前が…一般人のお前がそんなこと知ってやがる…」
「知ってるも何も…俺そこで…」

総長を…
そう言葉にする前に、天龍寺は口を開き…。

「お前と、付き合ってやる」

そう一言言った。

え…なに…?
俺の都合のいい幻聴ですか?
おおおお、お付き合いですとぉぉ。


「ふ、ふぇ…なん…」
「お前、バタフライと近い間柄なんだよな?彩のことを知っているのは、バタフライのやつら…身内くらいじゃないと知らないと聞く」

そ、そうなんだ。
俺の事ってトップシークレットなんだ。
確かに、みんなこんな族長嫌だっていうから、あんまり表に俺でないけど…。


「お前と付き合ってやる。でも、交換条件だ。バタフライの…彩の情報を渡せ」
「へ…?」

俺の…?

「なん…で…、」
「俺は、彩を倒したいからだ…」

彩を倒す。
俺を倒すから…彩を倒したいから情報くれ…。
俺を倒したいから…。

きゅん…。
俺を倒したいなんて。

俺は押し倒される希望なんだけど。
まぁ、いい。
深くは考えない、それが俺さ。

俺の情報さえやれば、付き合えるんだもんねー。
他の情報ならいざしらず。俺の情報なんて、どんどんあげちゃうよー。それで天龍寺と付き合えるなら!


「うん、いいよ。
俺…バタフライの…えっと、関係者っていうか…知り合いがいるから…教える!どんどん教えるよ!」
「よし、携帯出せ」

天龍寺は尻ポケットから銀色の携帯を取り出す。
俺も急いで取り出して、赤外線通信で互いのプロフィールを送りあった。


「まったねーv愛してるよ〜天龍寺!」


それから、俺は夕方までいつき、幸せるんるんで、家へと帰った。

これから念願のお付き合いが出来る!

ドキドキとワクワクに胸を膨らませて。
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