短編 | ナノ

なんて素敵な殴り愛。

その恋を名前をつけて言うのなら。
きっとこういう名前が一番あっているだろう。

なんて、素敵な、殴り愛。



新宿の某所。
今日もそこは、あやしいネオンで町を彩る。
赤・黄・青…
町並みを鮮やかに彩って。


その人通りから少し離れた場所に、古びた喫茶店がある。

小さな、でも少しレトロでお洒落な雰囲気のそこ。


ここまで辿りつくのには、結構かかるし探しだすのもかなりの時間を要する。

なにせ、新宿は広い。
それに古びた喫茶店なんて沢山あるのだから。


聞いた話、その喫茶店は、ある族の根城になっているらしい。

13歳〜18歳までの男を集めたそのグループは喧嘩負けなし更には謎に包まれたグループというのも相まって、最早伝説と噂されている。

少人数で纏められたそのグループは、どのグループよりも統制がとれており、腕に強いものが集まっている。


特にそこの総長『彩』は敵にしたら最後、命はないと言われているのだが…



「今から俺、天龍寺きゅんに告ってくる!」
「は…?」
「止めないで、マイフレンド!もうこの想い、止められないの。ああ、天龍寺ぃぃ。俺の思いを受け取ってぇぇぇぇ」
「おい、総長、」


誰も知らない。
その最強の総長は、とてもアホで、ネジが取れた人間だという事に。

可愛い小柄の、愛らしい顔をしていることに。
本当は。ただ一人の男に恋しているという事に…。

今は、まだ…知らなかった。
今は、誰も…。

―なんて素敵な、殴り愛。
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