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「王は…国では人気なのか」
「はい。国で人気ですよ。
容姿端麗で、何より頭がよく知性がある方。
王である気品もありますし、周りの諸外国は、王の威圧で、外交には大人しくしているっていう噂があります」
「ふぅん…、」
「主様が、昔いた国も、この国の王には手を焼いているようですよ」
「ふん…、」
ボクが昔いた国…か。ボクを朝から晩まで戦に駆り立てた国だな。
あの国は相変わらず、戦狂いなのか…。
ボクがあの国を発って何年も過ぎているのに。
しかし、まだあの国が国であることに驚きだ。
あの国の王は戦争狂いで、日夜戦に励んでいるため、反乱も多かったのに。
ボクがいた頃、あそこの戦は、ほとんどボクの力を借りていた。ボクがいない今、あの国の戦力は、目も当てられないもののはずだ。
よほど強い味方でもつけたのか…
考え込むボクをよそに、ワルツゥは話を続ける。
「しかも、この国の王は、隣国・マルディーア国の姫と結婚しようとしている。
近隣諸国は、いてもたってもいられないでしょうね。マルディーアは、戦力こそないものの、金はありますからね。同盟を組めば…」
「他の国が立ち入ることは出来ない、か…」
「はい…」
隣国・マルディーア国の姫。
ボクは直接的ではないけれど、間接的にこの姫を知っている。
この姫が、カサル・マグアイア王を好いていると聞いたから、少し助言をしてやった。
その助言により、王は姫を見るようになり、アリー様は蚊帳の外となってしまったのだけれど。
この国の王は、隣国の姫を愛しているんだろうか…。
アリー様を、ないがしろにしてまで。
そこまでして、愛しているのだろうか…。
もし。もしも。
二人の縁談をぶち壊せば…。
そしたら、この気持ちは晴れるのだろうか…。
今更。
元凶のボクが…でも…
その縁談をぶち壊してしまえば…、
アリー様は、報われるだろうか。
「主様…?」
くりくりとした瞳で、ワルツゥはボクを見上げる。
「なにを、お考えで…?」
「さて…ね、」
尋ねるワルツゥに曖昧に答え、立ち上がる。
「もう一度、あってから決めようか」
忌まわしい、王に。
アリー様の恋心を気付かなかった、愚かな王に。
静かに歩を進める。
ワルツゥは黙って、ボクの後を歩き出した。
「はい。国で人気ですよ。
容姿端麗で、何より頭がよく知性がある方。
王である気品もありますし、周りの諸外国は、王の威圧で、外交には大人しくしているっていう噂があります」
「ふぅん…、」
「主様が、昔いた国も、この国の王には手を焼いているようですよ」
「ふん…、」
ボクが昔いた国…か。ボクを朝から晩まで戦に駆り立てた国だな。
あの国は相変わらず、戦狂いなのか…。
ボクがあの国を発って何年も過ぎているのに。
しかし、まだあの国が国であることに驚きだ。
あの国の王は戦争狂いで、日夜戦に励んでいるため、反乱も多かったのに。
ボクがいた頃、あそこの戦は、ほとんどボクの力を借りていた。ボクがいない今、あの国の戦力は、目も当てられないもののはずだ。
よほど強い味方でもつけたのか…
考え込むボクをよそに、ワルツゥは話を続ける。
「しかも、この国の王は、隣国・マルディーア国の姫と結婚しようとしている。
近隣諸国は、いてもたってもいられないでしょうね。マルディーアは、戦力こそないものの、金はありますからね。同盟を組めば…」
「他の国が立ち入ることは出来ない、か…」
「はい…」
隣国・マルディーア国の姫。
ボクは直接的ではないけれど、間接的にこの姫を知っている。
この姫が、カサル・マグアイア王を好いていると聞いたから、少し助言をしてやった。
その助言により、王は姫を見るようになり、アリー様は蚊帳の外となってしまったのだけれど。
この国の王は、隣国の姫を愛しているんだろうか…。
アリー様を、ないがしろにしてまで。
そこまでして、愛しているのだろうか…。
もし。もしも。
二人の縁談をぶち壊せば…。
そしたら、この気持ちは晴れるのだろうか…。
今更。
元凶のボクが…でも…
その縁談をぶち壊してしまえば…、
アリー様は、報われるだろうか。
「主様…?」
くりくりとした瞳で、ワルツゥはボクを見上げる。
「なにを、お考えで…?」
「さて…ね、」
尋ねるワルツゥに曖昧に答え、立ち上がる。
「もう一度、あってから決めようか」
忌まわしい、王に。
アリー様の恋心を気付かなかった、愚かな王に。
静かに歩を進める。
ワルツゥは黙って、ボクの後を歩き出した。