・
クリスを山で拾ってからというもの、リリルクの頭はクリスでいっぱいだ。
誰が冷酷非道な魔道師リリルクがこんなに弟子溺愛になると想像したか…
リリルク自身も、ついクリスを甘やかす自分を叱咤するがこんな自分の変化が嫌いではない。
むしろ、自分を大好きとキラキラとした目で見つめて来るクリスに救われている部分もあるのだ。
ずっと、一人で平気だったのに…。
「……遅いな…」
東の空を見つめながら、リリルクは焦れたように零した。辺りはもう夜に近く、夕日はだいぶ落ちかけている。
いくら街に熱中しても、クリスは時間を守る人間だ。
いつもなら、何か用を頼み森の薬草詰みを頼んでも空がオレンジ色になれば、すぐに戻ってくるのに…。
(なにかあったな…)
リリルクは瞼を閉じ、呪文を唱え、落ち着いてクリスの念を探す。
最近はこのクリスの気を探ってばかりだ。
『し…しょ…』
小さく啜りなくクリスの声。
どうやらクリスの身になにかあったらしい。
リリルクは焦る自分を落ち着かせ、身を翻した。
クリスの気配はここからそう遠くない。
西に50キロほどの場所だ。
クリスに何が…
「クリス、」
魔法で瞬時にクリスの元に飛んだリリルク。
「ししょぉ…」
クリスは瞳に涙を溢れさせながら、やってきらリリルクにぎゅっとしがみついた。
みれば、被っていた帽子はなくなっており、服は引き裂かれている。
首筋には、朱いキスマークがいくつか散らばっていた。
(この姿は…まさか襲われたのか…)
まさかの事態に、リリルクは目を離していた自分を後悔し激しく詰る。
街に行き慣れてないクリスを一人街にやれば、どうなるかくらいわかっていたのに…。
「大丈夫か…、もう大丈夫だ」
腕の中にいるクリスに安心させるかのように優しく零すリリルク。
ギュッと強く抱きしめれば、クリスは小さく安堵の息を零す。
「ぼく…」
「クリス、」
「ししょ…ぼく……、」
ペタンと垂れプルプルと震える耳。
よほど怖い事があったのか…
クリスはリリルクの胸元をしがみついて離さない。
「大丈夫だ、私がいる」
「ししょー、」
「怖い事はもうない。安心しなさい」
「はい…」
ようやく少し落ち着いたのか…
クリスはリリルクから離れ、濡れた目元を服の袖で拭いた。
目元は兎のように赤らみ、大きなこぼれ落ちそうな瞳はうるうると涙で潤んでいる。
誰が冷酷非道な魔道師リリルクがこんなに弟子溺愛になると想像したか…
リリルク自身も、ついクリスを甘やかす自分を叱咤するがこんな自分の変化が嫌いではない。
むしろ、自分を大好きとキラキラとした目で見つめて来るクリスに救われている部分もあるのだ。
ずっと、一人で平気だったのに…。
「……遅いな…」
東の空を見つめながら、リリルクは焦れたように零した。辺りはもう夜に近く、夕日はだいぶ落ちかけている。
いくら街に熱中しても、クリスは時間を守る人間だ。
いつもなら、何か用を頼み森の薬草詰みを頼んでも空がオレンジ色になれば、すぐに戻ってくるのに…。
(なにかあったな…)
リリルクは瞼を閉じ、呪文を唱え、落ち着いてクリスの念を探す。
最近はこのクリスの気を探ってばかりだ。
『し…しょ…』
小さく啜りなくクリスの声。
どうやらクリスの身になにかあったらしい。
リリルクは焦る自分を落ち着かせ、身を翻した。
クリスの気配はここからそう遠くない。
西に50キロほどの場所だ。
クリスに何が…
「クリス、」
魔法で瞬時にクリスの元に飛んだリリルク。
「ししょぉ…」
クリスは瞳に涙を溢れさせながら、やってきらリリルクにぎゅっとしがみついた。
みれば、被っていた帽子はなくなっており、服は引き裂かれている。
首筋には、朱いキスマークがいくつか散らばっていた。
(この姿は…まさか襲われたのか…)
まさかの事態に、リリルクは目を離していた自分を後悔し激しく詰る。
街に行き慣れてないクリスを一人街にやれば、どうなるかくらいわかっていたのに…。
「大丈夫か…、もう大丈夫だ」
腕の中にいるクリスに安心させるかのように優しく零すリリルク。
ギュッと強く抱きしめれば、クリスは小さく安堵の息を零す。
「ぼく…」
「クリス、」
「ししょ…ぼく……、」
ペタンと垂れプルプルと震える耳。
よほど怖い事があったのか…
クリスはリリルクの胸元をしがみついて離さない。
「大丈夫だ、私がいる」
「ししょー、」
「怖い事はもうない。安心しなさい」
「はい…」
ようやく少し落ち着いたのか…
クリスはリリルクから離れ、濡れた目元を服の袖で拭いた。
目元は兎のように赤らみ、大きなこぼれ落ちそうな瞳はうるうると涙で潤んでいる。