トーマと彼女の短いやつ




 このくらいにしとくか……
 横で火照りを鎮める彼女の髪をすいて、絡まってダマになった部分を見つけて苦笑いする。
 明日も早いって言ってたな。起きられなかったらしんどいだろ。どっちにしろ俺がちゃんと起こすけどさ。

「トーマ……」

「ん? 何?」

 俺の腕にそっと小さな手を乗せて、彼女は覗き込んでくる。

「あのね、……もう一回……ダメ?」

「…………ダメなわけないでしょうが。だけど、朝つらくても知らないからな」

 自分でも呆れる程に決意が弱い。そんな可愛いお願いを断れる程意志の強い男でもないんだよ。

 できる限り優しく頬を撫でるとぴったりとくっついて擦り寄ってくる。

「トーマ大好き」

 おまえの大好きは毒に似てるね。
 そればかりじゃダメだってわかってても、頭で理解するより先に求めてしまうよ。




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