「っ……」
吃驚したのかシンはびくりと身体を揺らす。
シンは抱き締めてみると両腕がいっぱいいっぱいになる程大きくて、男の人を感じてドキドキした。
まだシンを男の子だと思ってる気持ちが抜け切らないのに、こうやって大人なんだって思うとなかなか心が着いて行かなくて。
「やっぱり、凄いドキドキする。シンもいつも緊張してるの?」
「……する。逃げられたらって考えたら怖くなる。でもそれ以上に、触れたくて仕方ないから」
シンの腕が背中に回ってくる。私とは違って抱き締めても余る腕の長さ。触れられたところが熱くなる。
「はあ、無理」
「え?」
「全然抑えられない」
顎を持ち上げられたかと思えば唇が降ってくる。
シンはキス魔だ。軽いキスならだんだん受けとめられるようになってきたけど、舌が入ってくると怖くなって逃げてしまう。
だから……
「!」
自分から入れてみれば僅かにシンが息を漏らした。
なんだか嬉しくなって、調子に乗ってシンの口内を弄んでいたら、いつもの比じゃない程深いキスをされて背中がソファーに着いた。
「あ、シン……待って……!」
「待てない」
受け止めきれない程のキスが少し怖くなる。身を固くしているとシンは手を握ってきた。
指一本一本に絡まる、所謂恋人繋ぎ。手を繋ぐのが苦手なシンがそんな事をしてくれた。愛おしさが込み上げる。
暫くしてキスをやめたシンの顔を漸く見る事が出来た。
鎖骨辺りまで赤くなってる。こんなに強引なキスをしてて、ずっと私からした事を恥ずかしがっててくれたんだとしたら、シンへの愛おしさでおかしくなりそうだ。
嬉しくてちょっと笑って、赤くなってる鎖骨に触れればシンはガバッと身を引いた。
「おまえ、そんなに襲われたいの……?」
「こんなところまで赤くなってて可愛いなって。触りたくなって」
あ、可愛いって言っちゃった。ちょっとムッとしてるシンがまた可愛い。
また顔を赤くして、私に覆い被さってくる。
「……オレにも、触らせて? 触りたい」
吐息の混じった声にぞくぞくする。どうしていきなり男の子から男の人になれるの? 心臓が保たないよ。
「シン、大好き」
額にキスを落としてくるシン。さっきの返事は言葉にせず、背中に腕を回す事で応えた。
2013/02/20
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