渇望と欲求



※現代パロ


そんなある日の夜───────。
曹仁は仕事が遅くまでかかり帰るのが深夜に近かった。
やっとの事でマンションに辿りついた。
部屋に入りると、曹仁は机にコートを脱ぎ捨てる。
携帯電話を充電機にかける。
設定をスリープモードにして曹仁はベットに沈んだ。
さすが疲れていたらしくすぐさま眠りについた。
ああ、やっとこの時が来た。
曹仁の側に影がうごめく。
影は近付いてく。
その姿は暗殺者、関羽であった。
微かな寝息をたてる曹仁に関羽は触れる。
頬に手を添える。
「曹仁…」
名を呼ぶが返事はなく眠ったまま。
関羽は堪らず曹仁の唇に自分の唇を触れる。
触れるだけのキスじゃ満足せず、
関羽は口内に舌を侵入させて犯す。
息苦しいのか曹仁から聲が漏れる。
「んん……っ!」
充分堪能して唇が離れる。
舌は首筋を軽く舐め上げて、鎖骨の部分を強く唇で吸う。
すると紅い印がついた。
ひとつではなく、いくつかの痕を付けていく。
本当はこのまま犯したいが時間切れのようだ。
窓を見ると陽の光が地上を照らし始めたからだ。
関羽は名残惜しいのかもう一度キスをして姿を消した。
暫くして曹仁は目覚める。
何だか妙な夢を見た気がする。
名前を呼ばれて、触れられた気がした。
何故か他人ではない誰かが…。
曹仁は顔を洗おうと洗面所に向かう。
鏡を見て曹仁は驚く。
「何だこれは!」
曹仁が驚くのも無理は無い。
鎖骨周辺にはくっきりとキスマークが付いていたからだ。
一体、どうして?
あれは夢ではなかったのか?
曹仁はまだ気付いてはいない。
これが始まりにすぎない事を。
そして運命は悪い方向へと向かっていくのであった。



あれから数日過ぎた。
あの悪夢は毎日のように続いた。
夢は覚えてはいなくて躯には異変が現れている。
だが、毎日を送るのに支障はきたさない。
何でもないと思い込む。
そう、たかが夢だと。
曹仁はいつもと変わらす仕事をこなす反面、精神面はかなりまいっていた。
「調子が悪い…、ふらつく」
立ち上がろうとするが立ちくらみがして足元が、ふらついた。
ここの所、あまり寝ていない為か何時もより体調が悪い。
やはり、あの夢が原因なのか?
まるで誰かに抱かれる夢を毎晩見る。
欲求不満なのか?
まさか、とは思うのは相手がタチが悪い。
俺を抱くのはあの男である事。
暗殺者に欲求してどうするんだ。
触れる事ができないのにな。
仕事に集中せねば、また沢山の書類に目を通さなくてはいけない。
今はこの事を忘れて仕事に集中しよう。
曹仁は目の前の書類を処理していった。
それから数時間後───────。
仕事が一段落して曹仁はコーヒーを飲んでいた。
『曹仁殿、先程のメールは全て送り終えた』
張遼が電話で連絡を入れた。
「ご苦労、張遼殿…」
曹仁は関羽を思い出すとあの悪夢を思い出す。
何故であろうか?
毎晩、私を抱くのだ?
夢の出来事とはいえ聞く勇気が出ない。
だが余りにも、リアル過ぎる。
異変が始まったあの日から躯には痕が付いている。
最近は寝るのが怖いとも思い始める始末。
そうどんなに願っても、刻は無常に、誰の上にも等しく流れてゆく。
夜になり仕事を終えた曹仁はマンションへと帰宅した。
窓を見て最近はゆっくりと夜空を見ている余裕なんてなかった事に気付いた。
曹仁はコートを脱いでハンガーにかける。
すぐさまベットに座りお気に入りの本を読み始めた。
しばらくして急に辺りが冷え込んできたことを肌で感じとった。
何か羽織るものでも出さないと、と曹仁が立ち上がりかけ…突然に、くらりと激しい睡魔に襲われた。
「な、なんだ……?」
意識を覚まそうと頭を何度か振るが、どうにも様子がおかしい。
このままベットに全身を預けてしまいたくなる。
まさか……。
今にも閉じてしまいそうな瞼を無理にこじ開けると、いつの間にか部屋の片隅に人影が現れた。
ぼんやりと視界が歪む中、人影が近づいてくる。
「か、関羽…っ!」
奈落へと引きずり込まれるように、曹仁の意識は闇へと沈んでいった…。
ああ、これは夢だな。
眠りへと落ちる瞬間をはっきりと覚えていた曹仁は自分が夢の中にいるという事が最初から知覚できた。
関羽の姿はなくてほっと気を抜いた曹仁は、突然背後から手を捻り上げられ、苦痛のうめきを漏らす。
「いつ…っ!」
「甘いな、曹仁…」
「…っ、関羽っ!」
なんとか掴まれた腕を振り解こうともがくが、躯に無理がかかり肩に軋みが走る。
「おとなしくすれば、無駄な苦痛を感じたくはなかろう?」
「誰が、貴様なぞの思う通りになるものか…っ」
それでも少しも抵抗をやめない曹仁に、関羽の目が不快げに見る。
「仕方のない人だな…」
そう、もがく両手を無造作に押さえ付けると、捕獲用に造られた紐のような物で身動きさせないようにする。
「今宵も、拙者の為にその淫乱な躯を味あわせてもらおうか」
床に仰向けに押さえ付け、慣れた手付きで曹仁の衣服をはだけさせていく。
「やめろっ!」
手首が擦れ傷つくのも構わす、曹仁はありったけの力で縛めを振り解こうとする。
しかし上から躯を押さえ付けられていてはそれもままならず、逆に手が痺れ苦痛の叫びをあげ始める。
………それも急所を握られるまでの、ほんのわずかな抵抗にすぎない。
下着の上から、縮こまっている曹仁のものを強く押さえ付けられ、躯が強張った。
「そう…おとなしくしていろ」
曹仁自身を掴んだ手に徐々に力が篭っていく。
毎夜続く快楽に躯が覚えている。
抵抗したいのに、無意識下の恐怖に躯が言うことを聞かない。
脂汗がにじみ出てくる。
そんな曹仁の反応に、関羽は喉の奥でぐぐもった笑いをもらした。
「抵抗しなければ、普段では味わえないほどの悦楽を楽しめるぞ」
下着をそのまま曹仁の足から脱がせる。
しどけなく下半身だけをさらけ出した己の姿に屈辱に唇を噛み締める。
まるで視線になぶられているような……。
微かに、ひくり…と曹仁自身が蠢く。
「今宵は、曹仁の甘露をたっぷりと味あわせてもらうぞ…」
そう関羽は耳元でねぶるように囁く。
やんわりと力なく横たわっている曹仁の雄に手を這わす。
顔を背け硬く目をつむり、曹仁はその感触を耐える。
いまだ力をもたないそれに、関羽は躯をずらしゆっくりと顔を近付けた。
ふう…っと、項垂れている曹仁のものに、生温かい湿った吐息をかける。
「え…?」
その感じたことのない感触に驚き、曹仁は目を見開く。
関羽は構わず、曹仁に見せつけるように、男根に舌を這わせ始めた。
「な…っ!」
信じられないというように目を見開く。
「やめ…っ、何して…!」
躯の最も汚いであろう部分を舐められ、恥ずかしさのあまり頬が紅く染まる。
だが関羽は何も言わず、曹仁のそれを手で支え持ち、裏側の筋をねっとりと舌全体で舐めあげる。
かと思うと、先端の割れ目に舌を這わせ、尿道口をこじ開けるように舌先でえぐる。
手は脚の付根をゆうるりと辿り、奥で萎んでいる双珠をやわやわと指で撫で上げた。
…自慰をしたことがないとは言わない。だが、手で与えられる悦楽とは全く違うその熱くぬめった感触に、曹仁は堪えきれずに欲望をたらし始めた。
「……っ」
赤く色付き始めた欲望に、関羽がにやりと嘲う。
「曹仁のここは、なんとも卑猥に色付きはじめたな…」
そう、竿の部分に唇を這わせたまま、関羽が呟く。
その唇の動きさえもが、快感へと繋がっていく。
起ち上がり始めた曹仁自身を唇でやわやわと辿る。
時折強く吸い上げては、その箇所を慰撫するように舌で舐める。
執拗な愛撫に、曹仁の欲望が耐えきれぬというふうに震え始めた。
「曹仁…貴殿のいやらしい汁が露結びはじめたぞ」
舌先で次から次へと溢れ出てくるそれを舐め上げて、
関羽は己の口内へと曹仁自身を呑み込んだ。
「あうっ!」
奥深くまで招き入れ、口全体できつく締上げる。
そのまま顔を上下させ、歯を使って扱きあげる。
ぴんと張り詰めた陰茎を、転がすように手で弄び、時折きつく押しつぶす。
「は、あぁ…っ…」
ぶるり…と、腰が痙攣する。
あまりものの官能に、もうなにも考える事ができない。
まるで関羽の口内に、自身を突きいれるように、無意識に高く上げてしまう。
縛られた手首にさらに体重がかかるが、その苦痛さえも凌駕する、快感。
関羽はそんな曹仁のものをさらに吸い上げると、熱く湿った括れの部分に歯をたてた。
「あ、あ─────っ!」
焦らされもせず、あっさりと解放を許される。
ひく…と、躯が跳ね上がる。
曹仁の放った精を全て口内で受け止め、関羽はゆっくりと顔を上げた。
ぐったりと躯を弛緩させた曹仁だったが、目の前に関羽の顔が近付いてきたことに気がつき、涙で潤む視線を向ける。
関羽の口の端から、白い液が滴り汚れている。
ごくり…と、曹仁の目の前で関羽は音をたてて曹仁の精を呑み込んだ。
舌を這わせ、唇についていた精を見せつけるように舐めあげる。
………視線が、離せない。
「………曹仁の精は、なんて濃い……味だな」
かっと血が昇る。
そんな曹仁の眼を覗きこみながら、関羽の手は萎えた
曹仁の欲望を再び辿り始めた。
「………っ!」
達したばかりで敏感なそこを、再びゆるゆるとかきあげられる。
「拙者に、もっとその精を呑ませてくれ…」
「やめ……っ」
再び曹仁の頭がそこに覆い被さってゆく。
曹仁の口から、再び嬌声がとめどなく溢れ落ちていった。
濡れた音が、ぴちゃり…と響き渡る。
膝を大きく開かされ、その間に関羽が躯を割り込ませている。
曹仁の欲望に顔を埋め、関羽は淫猥な音を漏らしながらそれをしゃぶりあげる。
はちきれんばかりに膨れ上がった曹仁のものは、関羽の口内に奥深く囚われ。
舌全体でねっとりと舐めあげられ、歯を立てられ、全体を強く吸い上げられる。
時折、後ろの双珠までもが関羽の口内にすっぽりと含まれ、やわやわと甘噛みされる。
その都度、曹仁自身が悦びのあまりひくひくと撥ねあがるのをまざまざと感じてしまう……。
「あ、あぁ…も、いや…っ」
耐えきれぬ射精感が曹仁を襲い、無我夢中で頭を振る。
かり……と関羽が曹仁自身の先端部分を噛む。
「あ、あ──────っ…」
全身が震え、曹仁はもう何度目かもわからない、吐精を強いられる。
「……あぁ…何度呑んでも旨い…曹仁の精は……」
唇の端についた精を、舌でねっとりと舐めあげる。
荒い息を吐き、ぐったりと躯を投げ出している曹仁。
関羽はそんな曹仁を嘲笑い、再び萎えてしまった欲望に舌を這わせはじめた。
「ひぃ……っ」
いじられ敏感になりすぎた曹仁自身は、微かな刺激すらもう苦痛にしか感じない。
「いや…もぉ…っ、許して……」
狂ったように頭を振り、曹仁は悶え泣き叫ぶ。
……もう、何度吐精させられたのか、分からない。
それほど執拗に、関羽は曹仁を快楽の極みへと何度も押し上げていた。
息つく間もなく、関羽の手が、舌が、曹仁自身をなぶり続ける。
いじられすぎたそれは、既に快楽ではなく苦痛を訴え始めていて。
限界だと、そう思うのに……。
浅ましいことに、それでも曹仁の雄は徐々に形を顕にしていく。
「あ、ぁ、ひ…いゃ…あ…」
関羽の指が曹仁の腹に飛び散った粘液を擦り込むように撫で上げる。
そのぬめる感触にすら、曹仁は耐えきれぬ悦楽を感じ取ってしまう。
ぐちゅ…ぬちり…と淫猥な音があたりに響き渡る。
関羽は再び曹仁の先端を吸いあげ、片方の手は奥まった双珠をころがし玩ぶ。
指で強く擦ったかと思うと、やわやわと揉みしだくようにいじられ、それだけで再び精をやってしまいそうだ。
「も…やめ…ろぉ…っ…」
涙が振り溢れる。
突然、双珠を潰されそうなほど強く握られ、曹仁は絶叫を上げる。
「ひあ───────っ!」
その苦痛と紙一重の悦楽に、曹仁のものは再び精を関羽の口内へと吐き出した。
何度も絞り尽されたせいか、吐きだすものは極僅かで、粘り気もなくなっていた。
だがそれでも関羽は旨そうにそれを呑み込む。
「は……っ…はっ…っ…」
息が収まらない。
あまりもの快楽地獄に、曹仁の頭は霞みがかって何も考えることができない。
赤く充血した雄に再び関羽の手が絡みついてきた。
まだ……なのだろうか……。
「はぁ…い、や…も…っ」
何度も吐精させられ熟れきった蜜棒は、既に快楽ではなく苦痛を曹仁に与えている。
精を吐き出したときも、尿道口がしみるように痛んだ。
じくじくとした鈍い痛みが、躯の中心から全身にまで広がってゆく。
「もぉ…ゆるし…て……くれ……」
しゃくりあげながら何度も訴える。
やがて、反応を返さなくなった曹仁自身に飽きたのか、ようやく関羽が頭を上げる。
ぐい、と濡れた口の端を指で拭う。
「仕方ないな…まぁ、今宵はこれまでにしておくか。十分に、貴殿の精を頂いたからな…」
ゆっくりと股の間から躯を起こす。
「また後日にな…」
全身をしとどに濡れそぼらせた曹仁をそのままに、関羽は立ち上がる。
自分の欲液で全身を濡らし、股を大きく広げたままのあられもない格好の自分に、今更ながら恥ずかしさが込み上げる。
だが、精と供に、まるで体力も吸い取られたかのようだ。
躯を動かそうとしても、指先すらぴくりと動かすことができない。
ただ霞みがかる眼で、関羽の姿をぼうと見つめるだけだ。
ぐるりとうつ伏せに返され、縛らわれた手首がほどかれる。
「ああ……手首が傷ついてしまいましたな……赤く擦れて…」
そう曹仁の手をとり、微かに血がにじんでいる箇所を舐めあげる。
しみるような痛みが走るが、だが曹仁はもう振りほどく力すらない。
満足ゆくまで両の手首に舌を這わせ、ようやく関羽が曹仁の手を離す。
関羽は部屋を出ていった。
声も涙も精も、心も……全てのものを絞りとられ。
ただ曹仁は、そこに躯を投げ出すように横たわっていた。



曹仁は眩しさに目を覚ました。
どうやら眠っていたようだ。
無理な姿勢でねていたせいで、身体中が軋み訴える。
昨日よりも、さらに躯が重く感じる。
つきりとこめかみに痛みが走り、そこに手をやろうとしてぎくり、と躯が強張った。
己の手首に……、何か、赤い、ものが…。
まるで、擦れたような赤い痣が手首を覆っていた。
そう。
夢の中で関羽に縛り上げられたところと、同じ箇所に。
「……夢…では、ないの、か……?」
擦れた声で、呟く。
まさか……。
まさ、か……。
身体の震えが、とまらない……。
曹仁は恐怖に身体を震わせ、目覚めない悪夢にまた悩まされる事になるのであった。





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