淋しい月夜



※現代パロ

寒い夜に月が寂しく地上を照らす。
独り暗い道を歩いていた。
任務が終わり酒場で一杯飲もうと思った。
行き着けの酒場で以外な人物を見付けた。

曹仁・子孝。

まさかこんな所で飲んでいたとは以外であった。

「こんな所で逢うとは奇遇だな…」

夏侯惇は曹仁の隣に座り話し掛ける。

「何だ、貴様か…」

曹仁はそっけない態度で呟いた。

「どうした?」
「いや、あまり好かないとはいえ嫌な仕事をしたから此処で飲んでいただけだ」
(子孝が嫌がる仕事ねえ…気になるがあえていわないでおこう)
「独りなら付き合えよ」
「…よかろう」
曹仁が珍しく誘いにのる。

やはり仕事で何かあったのか?

「ほら、飲むのであろう…」
曹仁が酒瓶を持って催促した。
夏侯惇はグラスを持ち曹仁から酒をグラスに注いでもらう。
注がれた酒をあおるように飲んだ。

「くぅー、旨いな」

夏侯惇が飲んだ酒が旨かった。
それに少し度が高めのようであった。

「涼しい顔して強いんだな…」
「元譲が弱いだけであろう?」
「相変わらず、冷たいな」
「相手になってあげているだけでも良いと思え」
「そうだな…」

曹仁はグラスに注がれた酒を飲みほした。
酒瓶にはもう空っぽになっていたのでマスターに新たな酒を頼む。

「どちらにいたします?」

マスターが聞いてきた。

「そうだな、強めの日本酒ならなんでもいい」
「かしこまりました」

マスターは棚から一つの瓶を曹仁に渡した。
「お前まだ飲むのか?」

夏侯惇は呆れる。

「ああ、元譲は飲まないのか?」
「いや、付き合うぞ…」

二人は暫くは酒場で飲み続けた。
それから一時間経過した頃。
「子孝、飲み過ぎだ!」

さすがに夏侯惇は呆れて介護に徹していた。

「うるさい、私が飲んで何が悪い」

酔っている。
間違いなく。

「今夜は俺が泊まるホテルに寝るか?」
「それは遠慮する…」

曹仁は夏侯惇から離れる。

「お、おい無理をするな…」
「ふん、これくらいでまいる訳ない。世話になったな」

曹仁が軽く夏侯惇の頬に口付けを落とした。

「なっ!」

いきなりの行為に驚く。

「まだまだだな…」

曹仁はクスッと笑い酒場を出ていった。
独りになった夏侯惇は溜め息を吐いた。
全く相変わらずつれない。
まあ、曹仁はこうでなければ。
夏侯惇は暗い夜道を歩いてホテルへと帰っていった。





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