小ネタ集
関劉←飛

いつもいつも二人っきりで話をする。
自分は置いてきぼりでなんだが距離感を感じる。
いつまでも三人仲良くって訳にもいかないと感じた。

寂しい、寂しい、寂しい。
そんな思いが募る。

「兄者…」

大好きで護りたい存在。
ずっと触れていたいと願ってままならない。
なのに兄者の側にはいつも雲長の兄者がいる。

俺は必要ではないと思うくらいに。
ああ、息が詰まる。

兄者にまるで恋をしているかのような自分。
そんな想いを自覚したら二人の側になんか近づく権利さえないと思った。

「こんなにも好きなのに…」

関羽も劉備も自分を置いて何処かに居ってしまうようでならない。
二人が恋人の様に触れ合う姿を目にしたらもう、目の前が真っ暗で何も見えやしない。

俺を見て欲しいのに、叫んだ所で変わるものはないのだから。

我が儘だと彼等は思うかもしれない。
それでも俺は兄者を、劉備を愛している。
この想いは彼に知る事はない。
伝える勇気もないのだから。

だから一人でまた涙を流す。
誰にも知られないように。

「何故、泣いている…」
「兄者…」

劉備が気づいてしまった。
一人で泣いている所を見られてしまった。

「何があった、翼徳…?」
「………」
「お前が悲しむには何か理由があるのであろう…兄として翼徳の悲しみを和らげたい…」
「兄者…俺は…」

劉備の言葉に張飛は悲しむ理由を言うか言わないか迷っていた。

「兄者…こんな所にいましたか。諸葛亮殿がお呼びですぞ…」
「雲長…」

関羽の姿を見て劉備の表情に笑みが浮かぶ。

「翼徳、どうしたのだ?」
「実は…先程、翼徳が泣いていたのでな。何かあったのではと心配なのだ…」
「翼徳、最近はあまり元気が無かったがどうしたのだ?」

関羽が張飛の側に近づくと顎を掴み顔を上げさせる。
張飛の瞳からは大粒の涙が零れていく。
ポロポロと流れる涙を関羽は指先で拭った。

「何故、泣くのだ翼徳?理由が解らないと我等は対処出来ぬぞ…」
「………っ」

張飛はたまらず、関羽に抱き着き声を殺し泣いた。
時たま、うめき声を上げ泣く義弟に二人はただ宥めるしかなかった。

寂しかったんだよ…。

たったこの一言が言えなくて辛くて、涙が零れる。

「翼徳…」
「!」

劉備は関羽から張飛を引き離すと優しく抱きしめる。

「ずっと一人にさせてすまない…」
劉備は悲しむ張飛の理由に気づいたのかそんな言葉を張飛に投げかける。

「兄者…兄者ぁっ…!」

張飛は更に涙を流して劉備の身体を抱きしめる。
ずっと自分を見て欲しかった。
少しでも側にいて欲しかった。

「いつも甘えていないから私は嫌われていたと思ったが逆だったんだな…」

劉備の言葉に張飛は答えない。

「遠慮してどうする。我等は兄弟なのだぞ…遠慮する事なんてないぞ」
「でも、俺は…二人の邪魔になる。迷惑掛けるから側にいちゃ駄目だと、思っていた…」
「翼徳…」
「だって兄者達は…あの、その、こ、恋仲なんだろ?俺が居たら邪魔だろ…」

張飛の言葉に劉備も関羽も驚き声が出ない。
何故、そのような表現をとられるのか。

「俺がいたら邪魔なら義兄弟の契りも無かった事にしても構わない。二人に迷惑掛けてばかりだから…」
「何を馬鹿な事を言うんだ翼徳っ!」
「そうだぞ…簡単に破棄など出来るものか!」

ずっと三人で歩んできたのに。
これからもずっと三人仲良く歩めると思っていた二人からは張飛の言葉に驚きを隠せなかった。

「もう、離してくれよ。頼むから俺を苦しめないでくれ!」
「翼徳っ!」

珍しく劉備が張飛に怒鳴った。
その声に張飛の身体がビクッと跳ねる。

「私の前で二度と義兄弟の契りを無くすと言うなっ!私は翼徳を見捨てたりはしない。翼徳はいつまでも私の大切な義弟だっ!」
「兄者…でも」
「でもではない!」
「兄者、落ち着かれよ…」
「しかし、雲長…」
「翼徳は何を勘違いしているのか解らないが、そんな事を言い出すのはただ事ではない。だが、我等に心配掛けさせて、困った奴だ」

関羽は溜息混じりに呟く。

「俺は寂しかったんだ…ずっと、ずっと…二人から距離を置かれていると感じてたから…」

張飛がやっと理由を二人に話し出す。

「やっと理由を言ってくれたな…そうか寂しかったのか、すまない…」

関羽が張飛の頭を優しく抱きしめてくる。

「そんなに寂しかったのなら今日は三人仲良く過ごそうではないか」
「でも、諸葛亮が兄者を呼んでいただろ?なら無理しなくてもいい…」
「諸葛亮は関係ない。これは我等の義兄弟の問題だ。仕事はいつでも出来る」
「で、でも…」
「でもではない!雲長っ、このまま翼徳を連れて私の屋敷にいくぞ!」
「御意…」

劉備の言葉に関羽は張飛を抱き上げる。

「うわあっ、雲長の兄者、何をするんだ!降ろしてくれよ!」
「駄目だ…逃げようとするなっ」

関羽の身体から離れようとするがびくともしない。
暴れていると関羽が張飛の尻を撫でた。

「ひゃあっ!やっ、何処触って?」
「相変わらず、敏感な身体をしておるな翼徳…」
「久しぶりに翼徳が欲しくなったぞ…」

二人の瞳に欲情を秘めていたのを張飛は感じとった。
流石にやばいと感じたが既に身体は関羽に抱き上げられて肩に担がれているから逃げられない。
抵抗したらまた関羽が尻を撫でた。

「やあ、あっ…雲長、止め…っ!」

涙目になりながら制止の声を挙げる張飛に劉備も関羽もゴクリっと喉が鳴る。

「雲長、早く運べ。今から翼徳を愛でるぞ」
「ええ、そうしますか…」
「やっ、待って!」
「逃げられないと思え翼徳、我等を誘った責任はとってもらわねばな」
「ちょ、待って、責任って、嫌だああっ!」

張飛の言葉を無視して二は劉備の屋敷に張飛を連行した。
そしてその後、二人が満足するまで張飛は散々泣かされ、愛される事になったとさ。



後日、諸葛亮が劉備と関羽に罰として鬼のように山のような竹簡を持ってきて仕事をさせたとか。





comment : 0
23rd.Oct.2011


 
comments
 
 
name:

text:

url :



editkey :



↑back next↓

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -