21

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「白は…」

「……。」

「あいつはオレを…恨むんだろうな、…辛い想いばかりさせた…」



銀色の暗部が再不斬の傍に膝を付く。
背に突き刺さっている刃物を痛みを感じぬようにチャクラを込めながら丁寧に抜いていく。
再不斬が呟いた、優しい本音。



「…白は心からお前を慕ってた。俺がいくら足掻いても、あいつの想いは揺るがなかった」

「…………。」

「悔しいけど…あいつはお前を選んだから」

「…お前が……名前か」

「!」



動揺し、思わず手に力を入れてしまった所為で痛みに呻いた再不斬。



「わ、悪い…。でも、どうして……」



自分の正体が誰かにバレたことなんてない。
不思議がる俺を見て、再不斬が掠れた声で笑う。



「…オレがどれだけ白と一緒にいたと思ってやがる…。あいつの好きな女の事ぐらい知ってて当然だろう…」

「……………………。」



あまりにも呆気なく、堪えていた涙が溢れて頬を伝う。
この涙の理由は俺には解らない。
悔いているのか、嬉しいのか、悲しいのか、…幾つもの感情が入り混じって、俺にはわからなかった。



「……カカシか、終わったな…」

「…ああ」



背後に現れたカカシ。
慌てて息を大きく吸って涙を呑んだ。



「男装名に言われて来たよ…、銀弥サン」

「…ああ、」



やっぱりそうか。
分身というのは離れていてもやっぱり同じ自分なのだと感心する。



「カカシ、再不斬を白のところへ……」

「ああ…」



銀色の暗部に頷き、カカシは再不斬を担いで立ち上がる。
突如、降り始めた季節外れの雪があの少年の涙を思わせて切なさを煽る。





―――――ボンッ


「…………分身?」



隣にいた暗部が煙と共に消えた。
咄嗟に男装名の方を見てみれば、俯いて何かに耐えるように小さくしゃがみ込んでいた。


(…………やっぱり、)



男装名にとって、特別な存在だったに違いない。
どういう理由にせよ、大切な者の死は耐え難いもの。



「……よし、」



再不斬の死を見届けて、一つ、男装名の為にも心に決める。
大きな感謝を、再不斬と少年に抱きながら。




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