02
今日、僕は教室の窓から外を眺めていた。
「悠兎、何見てんの?」
「!」
じっと見ていると、肩を叩いて友人である松本豊がニヤニヤと厭らしく笑いながら、僕を見ている。
ちらっと外を見るとすぐに僕に目を向けた。
「何を見てたのかなぁ??」
更に笑みを浮かべる豊に僕は顔を真っ赤にさせる。
分かっているクセにわざわざ聞くなんて意地悪だ!
【聞かないでも分かってるでしょ】
確信のある文字を紙に書いて豊に見せる。声が出なくなった頃から人と接するためにペンと紙を僕は常備している。
「ごめんごめん。悠兎が恋する乙女な瞳をして外のグラウンドを見てるからさ」
クスクスと笑って僕の頭をグシャグシャに撫でてくる豊に僕はムスッと顔を顰める。
僕が実際見ていたのは外のグラウンド。そこには僕の想い人でもある会長がいる。
「いやぁ、今日も会長がイケメンすぎて眩しいなぁ…」
【うん、そうだね】
「おっと、溺愛してますね〜。暑いなぁww」
ニヤニヤと笑う豊に再び顔を顰めて、うるさい、と言おうと口を開いた。
「…っ」
そこで声が出ない事に気付いて、手で口を抑える。
「ぁ…悠兎、ごめん」
豊は優しいから、イジメすぎたと反省している。
僕も自分の事なのに忘れてたから豊は関係ない。その意味を込めて、微笑みながら首を横にする。
ホッとする豊に僕も安心して頬を緩ませる。
ふと、外のグラウンドを見ると会長はすでにいなくなっていた。
きっと、次の授業にでるのか生徒会室に行ったんだろうな。
「悠兎ー。次は移動だぞー」
いつの間にか席から離れて廊下にいた豊に頷くと、僕も教科書を持って廊下へ出た。
モドル