02
授業のチャイムが鳴り響く。始まりのチャイムだ。
先生が教室に入って来るとクラスの奴らは席に着き、静かに授業の準備を始める。
もちろん僕も。
だけど、それは叶わない。
「陸斗ーっ」
…ああ、またアイツの声が聞こえる。マジ耳障り。
そんな事を心の中で思ってる僕だけど、僕は優しいから笑顔を作る。僕、マジ天使。正直な事を言わないんだから感謝してよね。
「樫本君、何かな?」
「何って、誘いに来たんだよ!!一緒に遊ぼうぜ!!」
「遊ぶって…今、授業だよ?」
まあ、お前は授業に転入して来てから一度も出てないもんね。授業中、教室にいる所、見たことないよ。
そのまま授業の単位と出席日数の不足で留年か退学すればいいのに。
「授業なんかいいじゃねぇか!!遊ぼうぜ!な?」
「…でも」
クラスの皆、見てみなよ。みぃんな、冷めた目で僕らを見てるよ?
ふふ、僕も入ってるのって完全に不覚なんだけどね。楽しいからいいや。
樫本の事が好きな子と生徒会が好きな親衛隊。みぃんなまとめて僕を睨んでいる。マジウケる。
普段大人しくしている僕は樫本の言葉に今まで反抗なんてした事がない。
ただ、オドオドしながら頷く事しか出来ない人形のフリをしていた。
ふふ、そう。フリなんだよね。
楽しい玩具を見付けた気分だったのに、こんなんじゃつまんないなぁ…
だからさ、僕は面白い事を考えたんだ!!
もし今、僕が樫本に反論をし始めたら、どうなるかな?
ふふ、楽しそう!!
モドル