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「…神楽の好きな奴って俺の知ってる奴か?」

「…ああ、そうだな。知ってるな。」


貴方ですなんて言えねぇし。鏡を見たら俺の好きな人は写りますよーってか?

嫌だ。もっと恥ずかしい。


「……………アイツか」

「会長?どうかした?どうして、そんな怒ってんの?」
「怒ってねぇ」

「…怒ってんじゃん」


会長は俺から顔を逸らしたままだ。顔は俺から見えないけど、声で怒ってるのが分かる。

俺何かした?会長を怒らせるような事、したかな?

会長の好きな人って俺の知ってる人なんだろ?もしかして…


「会長、皐月が好きなのか?」

「は?」


あ、やっと会長がこっちを向いた。


「皐月が好きなら色々と説明が付くし…。会長、俺に嫉妬してるんだろ?皐月と仲良いし。会長は俺を皐月から引き離そうと…」

「ちょ、ちょっと待て神楽!」

「何だ?」

「お前の好きな奴が斎藤じゃないのか?」

「は?何で?」


皐月は俺にとって一番信頼出来る親友だ。だけど、そういう恋愛対象で見た事なんて一度もない。

会長、それ勘違いだ。俺が親友をそんな目で見たりしないって。


「…じゃあ、誰なんだ」

「会長、自分は言わないで人に言わせるのは狡いんじゃねぇ?」

「……それは、そうだが…」


言葉を渋らせる会長に俺は顔を引き攣らせる。

自分で言って置いてなんだが、もし、このまま会長が理解した上で好きな人の名前を出したとして、俺も言わなきゃならない訳になる。


…そうすれば、今の交友関係が崩れるじゃん!!



「ま、まぁ、言いたくなかったら聞かねぇから」

「…言ったら、神楽との関係が崩れるかもしれないから言わないようにしようと思ってたんだが…」

「……いいよ、言わなくても。いつかね、いつか。」


今だに言葉を渋らせる会長に冷や汗が流れる。


「いや、聞いてくれ」


止めて下さい。

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