+おまけ3
「よお、生徒会長様」
「あ?」
それは役員達が帰ってきてある日のことだった。
帰ってきた日に役員達は一般生徒や親衛隊達に頭を下げて回った。その噂は直ぐに広まりあいつらが心配していたことが馬鹿だったかのように生徒達は祝福の声を上げた。
まあそれもつい最近のことをなんだが、
「またお前か風紀」
「またって何だ、またって」
「そのまんまだろうが」
最近、風紀がよく書類を持って生徒会室にやってくるようになったのだ。今までの生徒会の書類は平に持って行かせていたのに、だ。むしろ平の姿なんて最近見てねぇ。
「お前、朝と一時間前にも書類持って来ただろ。どれも期限がまだなんだから一気に持ってこいよ」
「ああ?役員が帰ってきたから楽しようってか?」
「うぜ、」
楽したいことはしたいに決まっている。今までの疲れがまだ残っているのだから、
はあ、とため息をつく。視界に映る役員達はハラハラした面持ちでこちらを見ている。転校生が来る前なら一緒に言い返していただろうが、一度道を踏み外した手前言い返せないのだろう。
「書類受け取ったから帰れ」
「あ?そんなことより昼なんだから食べに行かねぇか?」
「は…はあ?何でてめぇと行かなきゃなんねぇんだよ!きめぇ!!」
いきなり何を言い出すのかと思えば風紀にしては滅多にない…というか初めてのお誘いだ。全身鳥肌がたった。
「ちっ…二人とは言ってねぇよ。コイツらも一緒でいいから」
「お前いらね」
「オイコラ」
ポロリと本音を漏らせば書類を丸めて軽く叩かれた。どうしよう、その優しげな叩きかたさえ珍しくて寒気がする。
「お前とだけは死んでも行かねぇよ。今日は此処でたの、」
「……最近チョコパフェにプリンがのったのが出てきたんだっけ?」
「む………なに?」
「そういえば出たねぇ」
断ろうかと思えば風紀の口から特大な情報が漏れた。続いてやっと会計も声を出したかと思えば頷く始末。
た、食べたい!!
衝撃的な情報に体が食べたいと反応してうずうずする。
それを見ていた風紀がニヤッと笑った。
「あと新商品としてイチゴたっぷりまろやかケーキだったか?」
「…っ」
「平がどんな味がするか知りたいっつってたし、でも俺は食べれねえから誰かに奢って感想聞こうと思ったんだが…そうか、他をあたるしか」
「ま、まて」
踵を返して出ていこうとする風紀の服の裾を急いで掴む。
「どうした会長?」
「ど、どうしても平が感想を聞きたいと言うなら…食べてやっても、いい」
「……」
「…どうした、風紀?」
「…いや、交渉成立、だな」
案外簡単に釣れた
(椅子に座っているせいでかいちょー上目遣いだねぇ…)
(いや最後の照れた感じで流し目っていうのがだめでしょう)
(裾、にぎる、だめ)
((全部だよくそっ!…俺、理性持つかな))
((よし、甘いもの好きな平とやらと仲良くなろう))
モドル