囚われ君
目を開けたら、そこには青空が広がっていた。
――――なんて、
目を開けても、辺りは真っ暗なままで。
この部屋(檻)から抜け出せたわけではなかった。
“君(ひめ)”であった私がここから抜け出すことなんて簡単だった。
でも、私は此処から抜け出そうとはしなかった。
この、暗くて冷たい場所に居ることを選んだんだ。
だって彼は私を助けに来てくれると、そういったもの。
ならば私はそれを信じて待つのが、仕事でしょう?
「…………この場所で、」
幾年、幾百年待とうと、私は生き続けて彼を待つの。
真っ暗なこの部屋(檻)で、私は生き続ける。
囚われ君
(ああ、いつになったら貴方は迎えにくるのかしら)
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