YOU'RE MY SPECIAL!!
初めて会った時から特別だった。
男ばかりのシェアハウスに現れたキミの笑顔は太陽みたいに心を照らす。
手を伸ばせば触れられる距離がもどかしい。
キミを誰にも渡したくない。
YOU'RE THE ONLY ONE☆
LOVE CONFLICT〜In kazuto's case〜包み込む愛君と初めて会ったのは桜の季節。
大学でこのシェアハウスの入居者募集のチラシを見たと訪ねて来た君は、春のあたたかさを纏ったような、柔らかい笑みが印象的な美少女で。
10も年の離れた君に一目で恋に落ちただなんて、自分でも信じられなくて。
(男ばかり6人の中に紅一点か…。面倒な事にならなければいいんだが…。)
そんな一抹の不安は的中…どころか、予想を遥かに越えた君の人気ぶりは、俺の心をかき乱す。
「今日もあっついなぁ…。こんなに暑くちゃ課題も何も手につかないっ!!沙耶、アイス買いにコンビニ行かない!?」
「えっ!?アイスですか?」
「おい、アンタの場合、暑くなくても何にも手についてないだろ。コンビニ行く暇があるならさっさと課題やったらどうなんですか!?」
「創一さん!!そんな本当の事をハッキリ言っちゃダメですよ!!」
「おーい、翔ちゃん!!それ全くフォローになってなーい!!」
「ふん。本当の事を言って何が悪いんだよ。」
「創ちゃん酷い!!そんな事言ってると沙耶に嫌われるぞ!!」
「はぁ!?なんでコイツが出てくんだよ!!」
「…キヨ…うるさい。沙耶、俺とアイス食べよ?」
「え…ちょっ…く、栗巻さん!?」
「朝から騒々しい…。一体何の騒ぎだ?」
裕介から始まったらしい君争奪戦。
騒ぎの中心で困り顔の君を助けられるのは管理人の特権だ。
「おいおい、本当に何の騒ぎだ!?沙耶ちゃんが困ってるじゃないか。」
「あ、和人さん!!」
満を持して登場すれば、安心したような笑顔の君に名前を呼ばれ、少々の優越感。
「ちぇー。保護者登場じゃ手も足もだせないじゃん。」
「つか、手ぇ出す気だったのかよ!?」
「いくら裕介さんでもそれはダメです!!」
「おい!お前達!!いい加減にしないか。裕介、アイスを買いに行くのは自由だが、沙耶ちゃんを連れていきたいなら、その前にやるべき事があるんじゃないか?それに、沙耶ちゃんの同意も得ること。それから…創一と翔吉。毎度毎度裕介の軽口に乗るんじゃない。」
いつもの事とはいえ、騒ぎの話題が自分ということに居たたまれない…といった表情の君を庇うようにしながら事態の収集を図る。
「あーあ、やっぱカズさんには痛いとこ突かれるなぁ。そんじゃあ、課題を仕上げちゃってから改めてお誘いしますかね。というわけだから…沙耶、待っててね♪」
「裕介さん…全然懲りてないし。」
「つーか、何で俺まで説教されなきゃなんねーんだよ!!」
「キヨはいちいちウルサイから仕方ない。」
「あぁ!?んだと文太!!」
相変わらず騒がしい彼等は放っておいて。
「全く…仲が良いんだか悪いんだか…。」
「ふふっ…ほんとですね。」
「さて、また捲き込まれると大変だ。これから少し買い出しに出掛けるんだけど、手伝って貰えるかな?」
「はい、勿論!!」
君と2人きりになりたいのは俺も同じ。
騒ぎの輪を抜けて君を誘うのは職権濫用にならないだろう。
「まとめて日用品も買いたいから、いつもより少し遠出になるけど大丈夫かな?」
「あ!もしかして、最近オープンした会員制のスーパーに行くんですか!?」
「ああ。よく知ってるね。」
「はい、一度行ってみたかったんです。楽しみ!!」
そう言って嬉しそうに笑う君がやっぱり愛しくて。
この笑顔を守りたい。
いつかきっと…。
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