続 girls トーーク!! 

ハロウィンも終わり、街には気の早いクリスマスツリーが飾り付けられ、どこのショップにもクリスマスを意識した商品が並び始める。



四つ葉荘も例外ではなく、リビングに飾られていたジャックランタンは柊とポインセチアに取って代わり、クリスマスツリーを飾るのスペースが準備される。
日を追う毎に冷たくなっていく空気に冬の気配を感じる、そんなある日…。




「おじゃましまーす!」


「お邪魔します…。」


「はーい!なずな、アキちゃん、いらっしゃい!」


「やっほー!沙耶!飲み物とお菓子買ってきたよ!」



「ありがとー!久しぶりの女子会だから楽しみにしてたんだ!はい、上がって、上がって!」



「女子会って…私は女子じゃないんですけど…。」



「おーい、あきちゃん!何ブツブツ言ってるの?早くおいでよー!」


「………。なんかこのクダリ…前にもあったわね………。」











【リビング】



「入って入ってー。」


「あー!クリスマス仕様になってる!」


「あら、本当。この間お邪魔した時はハロウィンの飾り付けだったのに…。もうそんな季節なのね。」


「そう!ちょっとクリスマスっぽくなってるでしょ?今度皆でツリーの飾り付けもするんだよ。」


「相変わらず仲良しだねー。四つ葉荘の皆さんは?」



「で、今日は皆さんは居ないのかしら?」


「そうなの。和人さんは砂原さんが幹事の合コンに行くとかでさっき引きずられるようにして出掛けて行ったし、裕ちゃんはお姉さん達に呼び出されて実家に行くって…。何だか、これ以上留年したら卒業は諦めてお店を継げって言われてるとかなんとか…。で、菊原さんは海外からお友達が来日されるみたいで、日本を案内するからって京都に。
清田さんは『真実はいつも一つ!』って言いながら、お祖父さんの手掛けた建物巡りに出掛けてるし、翔ちゃんは相変わらず実家に帰省してるの。」




「「………」」



「あれ?なぁに、二人とも顔を見合わせちゃって。」



「どうしよう、アキちゃん…。」


「ええ…。ツッコミ所が満載過ぎて困ったわね…。」


「っていうか、前にもこんなやり取りがあったような…。」



「そうね…。ただ、清田さんの決め台詞がコナンっていうのが一番気になるわね。」



「確かに。金田一ならまだお祖父さん尊敬キャラって括りでいけるけど、コナンはお祖父さん全く関係ないしね…。」



「ねぇねぇ、二人で何コソコソ話してるの?コーヒー入れたから飲もう?」



「四つ葉荘のイケメン男子はツッコミ所満載だけど、それに全く動じない沙耶が一番強者かもね…。」



「慣れって恐ろしいわね…。」



「もう!二人とも!!」



「はいはい。ほら、なずな!クリスマスパーティーの相談するんでしょ?」



「そうそう!高校の時の友達がクリスマスパーティーをするから幹事を手伝って欲しいって頼まれたんだけど、何か良いアイディアはないかなって。」



「沙耶ならここでもパーティーするだろうし、皆さんからパーティーに誘われたりしてれば、そんな話も参考にならないかしらって私が言ったのよ。」



「そっか。確かに四つ葉荘でもクリスマスパーティーはするよ。参加できる人だけでって和人さんは声を掛けてくれるけど、クリスマスに限らずイベント事って参加率100%な気がする…。」



「へぇ…イケメン揃いなのに意外…。」



「確かに。特に菊原さんは校内でもかなり人気あるし、ゴージャスなデートしてそうなイメージだものね。」



「そうそう!夜景を見ながらのディナークルーズとか、隠れ家的なバーで突然ピアノ弾いてくれたりとか!」



「うん、似合うわね。」



「うーん…」



「あれ?実際は違うの?」



「いや、ゴージャスっていうのは違わないかもしれない…今行ってる京都だって、宿泊先の老舗旅館は顔パスみたいだし。」



「「えぇっ!?そうなの!?」」



「ただ、前にパーティーに誘われた時はもっとこう、グローバルというか…」



「えっ!?どんな?どんなパーティーだったの!?」



「それがね、フランスのお友達が主催する晩餐会で、ディナーの後にはダンスもあるっていう…。」



「それは凄いわね…。」

「おとぎ話かドラマでしか見たことない世界だよ…。」



「そうなの。私、ダンスの心得なんてないし、ドレスだって着たことないから困っちゃって…。」



「そうよね。で、どうしたの?」



「そしたら、菊原さんがダンスはレッスンをしてくれるから大丈夫だって言ってくれて、衣装はオーダーメイドで作ってくれるって言うの。」



「すご…」




「でしょ?それにね、『ドレスの採寸は俺が…ね…?』って言ってたから、菊原さんって洋裁も得意なのかも!ピアノニストだし指先が器用なのかもね。」



「……ねぇ、アキちゃん。どこから突っ込めばいいと思う?」



「そうね…。指先が器用っていう解釈をされた菊原さんが気の毒だわ。」



「あのー…、それでその後はどうなったの?」



「それがね、その日親戚の結婚式があって、せっかく誘って下さったんだけど、お断りしたの。」



「「!!!!」」



「でも、晩餐会にダンス、しかもオーダーメイドのドレスだなんてとても私には…って思ってたし…ってあれ?どうしたの、二人とも。」



「…ううん。気にしないで。菊原さんの飛び抜けたセレブっぷりと、あんたの飛び抜けた天然っぷりに目眩がしただけだから。親戚の結婚式って…それで菊原さんのお誘いを断れるって…あんた一体…」



「えっ!?目眩!?なずな、大丈夫!?」



「大丈夫よ、沙耶。ほっといてあげなさい。」



「え…あ、うん…。」



「菊原さんのパーティーは豪華過ぎてちょっと参考にならないわね。パーティーっていう華やかな場所によく行きそうなのは桜庭さんよね。桜庭さんの話は聞いたことない?」



「あぁ!確かに裕ちゃんはよく誘われたりしてるかも。」



「桜庭さんってDJも出来るんでしょ?素敵だろうなぁ…。」



「そう!そういえば、よくDJをしてるクラブのクリスマスイベントに誘われてるって言ってた!」



「で?どんなパーティーなの?」



「私が聞いたのは、参加する人がハロウィンみたいに仮装してきて、参加者同士で投票して一番人気の仮装をしてきた人にはプレゼントが当たるって。」



「なるほど…。よくあるビンゴとかよりは新鮮な企画かもね。」




「ただ、クリスマスで仮装ってサンタクロースかトナカイしかいなんじゃないかしら。しかもハロウィンの二番煎じみたい…。」



「アキちゃん…なかなか厳しい事言うね。」



「でも、私もサンタクロースの衣装は勧められたんだよね。」



「え…そうなの?」



「うん。赤いミニ丈のワンピースなんだけど、縁に白いふわふわのファーが付いてるやつ。それで、ブーツを合わせるんだけど、寒いしタイツを履こうかなって言ったら、裕ちゃんに反対されて…。」





    
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