転入生(2/15)




『神崎 サチです、よろしくね』



季節外れの転入生として私は彼のいる学校に行く

黒板の前に立ち軽く自己紹介をして辺りを見渡した



一人、傷を隠し切れていない少年

私に助けを求めた張本人であり

とても優しい男の子



「神崎は沢田の隣だ」



ビクリと過剰に反応する少年の隣へと歩いて行く

怯えたように私を見る沢田綱吉クンに笑顔を向けた

目があった瞬間、彼も何か思い出したような

いや、違うか でもきっと彼の何かが引っかかっていると信じて



『よろしくね、私のことはサチと呼んで頂戴』

「よ、よろしく……」



自分にはかかわるなとばかりにふと目をそらしてうつむいてしまう



あらあら、こりゃ大変そうだ

なんて思いながら静かに席に着いた



その後はもう大変だ

周りに群がる少年少女

何処から来たか、彼氏はいるか、好きなものや趣味など

とにかく次から次へと質問攻めだ



『え、っと……』

「もぅ、みんな神崎さんが困ってるじゃん!」

「麗華、そうだよねごめんね神崎さん」



麗華


そう呼ばれた少女は人好みのする笑顔で

私の傍まで寄ってきた



「紫藤 麗華って言うの、サチちゃんって呼んでいい?」



私のことは麗華でいいよ

なんて言いながら握手を求め手を差し出してきた



すらりと伸びた手足に

大きい目に筋の通った鼻、形のいい口

かわいい子と思ったが

握手をして全て分かった



『えぇ、よろしくね麗華ちゃん』



  







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