prologue(1/15)
たす……け、て……
『あら?』
「どうかなさいましたか?」
書斎で机に向かいデスクワークに励んでいた少女の手がふと止まった
執事のような男は不思議そうに首をかしげる少女を見て
書類に何か間違いがあるのかと紙を覗きこむがそうでもない
『ええと、水を汲んできてちょうだい』
そう言って、少女は机から離れ棚をあさりだした
男が水を持ってきたころには机の上の書類はどけられて
いくつかの瓶が並んでいた
『私に助けをよこしたのは誰かしらね』
「助け、ですか?」
コップに瓶の中身を数滴ずつ垂らしていく
そしてコップの中を覗き見たとき
映像のように少年が映っていた
『あら、かわいそうに』
それからの行動は早かった
執事の男を部屋から追い出し
残った書類を一気に片付けた
『さぁ、行きましょうか』
出かける準備をして部屋を出る
『しばらく帰らないから』
「そっそれは困ります!!」
部屋の外でそわそわとしていた男に声をかける
焦ったように、歩いて行く私の後を走って追いかけてきた
『仕事に言ってくるとシルクに伝えて』
「シルク様に、ですか 分りました」
この男はこの屋敷に住む者の本当の仕事を知らない
男はしぶしぶ了承したようで
お気をつけて
そう言って見送ってくれた
『さぁ、久しぶりに腕がなるわ』
- 1 -
≪ | ≫