その7


働くにも見た目で必ずバレてしまうだろう。

そうなれば目に付かない仕事をするしかないのだが、問題は身分証明が何もないと言う事…

履歴書に
【・妖怪の暴走を止める旅をしている
・一身上の都合により退職】


書ける訳がない。



何処からどう見ても"不思議ちゃん"扱いされる。

しかも速急に収入が必要だ。
学生で、しかも所持金のないりかが彼らの食費を賄える訳がないのだから。












「やー…、マジ現実逃避してェって…」












彼らの此からを現実的に捉えたら、口から出るのはため息と愚痴。

4人は変わらず部屋をガサ入れしたり、タバコを吸ったり、お茶を飲みながらお菓子を食い漁ったり、TVに映るグラビアに夢中になったりと
自覚はないようだ。












「見た目を兎に角どうにか…
服…かァ」












ヤバい
財布に金なんかないし…
かと言ってこの服装で外を歩かせる訳には行かない。


特に三蔵を…。













「とりあえず詰みゲーとか売ればどうにかなるかな…
身分証明なくて平気な仕事は…っと…」


「…おいおい
1人でブツブツ言っちゃってるけどよ、大丈夫な訳?」


「あんたらの事考えてやってンでしょーが!
身分も偽らないといけない不審者共め!」


「その履歴書?
と言うのは無くてはならない物なのですか?」


「この世界は必須。
なきゃ怪しいからね。
履歴書は適当に…あ!」


「「「「あ?」」」」













突然思い立って出た言葉。











TVのニュースで犯人が数年逃亡していた後、逮捕されたのが報道されていた。

逃亡期間、日雇いの工事現場などで寡黙に働き、逃亡資金を貯めていたそう…。











「これだ!」


「「「「は?」」」」


「アンタらの働き口に決まってンでしょーが!
工事現場なら女も寄り付かないし、履歴書は…偽るとしても日払いでお給料貰える!
場所によっては寝場所あるし」


「工事現場?
それはどのような仕事なのですか?」


「力仕事だね」


「俺と悟空は平気だがなァ…」


「俺は気にするな。
下僕が働く」


「下僕ってガチ言ったし!
み な ぎ っ て き た !」


「そうですね…。
僕も力仕事は自信がありませんし…」


「おい スルーか貴様ら。
どこ中だこのやろう」


「ならオメーら住む場所もねェだろ。
素直に働けっての!」


「おい 泣くぞこのやろう」


「なぁ他にはないの?
その こーじげんばって以外ので!」


「……返事がない。
ただの屍のようだ」


「…相手してやれ。
明日になる」


「あー…すみませんでした
みなぎっ…?たんですね?」


「あーもう!
もういいわ!
仕事?ん〜…日払いなら色々あるけど、宿までは無くて、自腹が大半だよ。
まぁネカフェでいいんでないの?」


「「「「ネカフェ?」」」」







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