弐拾七



夕飯も終わり、焚火前で5人はコーヒーを飲みながらのんびりと過ごす。

悟空と悟浄はトランプをし、三蔵は新聞。八戒は地図を広げにらめっこ。



夕飯の片付けをしながらも惷香はチラチラとテントを気にしてしまう…

そんな様子に三蔵は軽い溜め息を漏らす。












「気にしても仕方ねえだろう。
お前は心配し過ぎる」


「だって…」


「誰かサンは自分が心配する相手が違うヤツを心配するのが不満なんだろ?」


「あ゛?
何か言ったかクソ河童」


「言ったぜ?
ハゲの上に耳まで遠くなったのかよ」


「ほう。
ならテメェの頭もハゲ散らかしてやる!」













ガウン ガウン!!














「当たんねーよ!
ノーコン野郎!」


「わざと外してやってんだよ。
今度は外さずに撃ってやる!」


「もうッ!
三蔵も悟浄も止めてよ」


「ホントだよ!
いい加減にしろって!」


「三蔵。
むやみやたらに撃たないで下さいね」














と、その時テントから彼女が這い出て来た。

キョトンとした表情で5人を見渡す













「気が付いたの?大丈夫?
何処か痛んだりしない?」


「…………」


「ビックリしてんじゃねーか。
なぁ彼女。焚火に当たったらどうよ」













小さく頷くと、彼女はゆっくりと焚火前に腰を下ろす。


八戒は黙って彼女にコーヒーを手渡しながら軽く笑んだ。














「…ありがとう、ございます」


「なぁ何でアンタあんな所にいたんだ?」


「家が近いんじゃねえか?」


「…あ、いえ…」


「…何か誰かを彷彿させるな」













渡されたコーヒーをコクッ…と喉に流し、ふぅ…と再び5人を見渡した。














「…私は哀茗(アイメイ)と申します。
すみません…迷子になっていて空腹で…」












と、タイミング良く高らかに哀茗のお腹が鳴った…





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