弐拾九
「おい惷香!!
一体何だっつーんだよ!」
「悟浄!
急いで悟空の所に行かなきゃ危ないかもしれないッ!
多分……淀仁さんは…」
…
……
………
三蔵と八戒は同じ頃
村の外れにある墓地を村人達に掘らせていた。
墓石前には遺体がある筈が…
「ない……
遺体がなくなってる!?」
「こっちもだ!!
先週埋葬した筈の所にも……」
「…間違いないですね」
「―――他人の倫理を侵したら
それはもう理念なんかじゃねえ
たとえ相手が死者でもな」
屍肉しか食べない鳥達
彼らのエサを維持する為に、あの男は……
…
……
………
「はッ…間に合って!」
「なァ!
ホントにあの鳥男が墓荒らしたってのか?」
「多分三蔵と八戒が今頃墓場を調べてるッ…
はァ…もしそうなら悟空が危ない!」
「っても、あの猿があんな草食系に…」
「分からないよ。
力がない者は力がない分、知恵を使う。
それで攻められていたら…」
走りながら2人は悟空を心配していた。
次第に見えてきた淀仁の家
淀仁に気付かれないように、ゆっくりと開けたドアの先に見えたのは、床に倒れて動かない悟空と
悟空に向かって会話をする淀仁だった
「私はね
この目で見届けたんだ。
息子の遺体が鳥達にほふられる様を」
「「「………!!」」」
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