風邪・六


その後2人の揉め事も落ち着く頃
悟空が台所から戻って来た








「宿屋のおばちゃんが台所で開けて皿に盛り付けてくれたんだ
惷香一緒に食おうぜ!」


「うん頂きます」









改めて4人の優しさが身に染みた
トラブルも多いし喧嘩もするけど

幸せってこうなのかなって実感した







それから
宿屋を後にしてまた西へと旅を続けたのだが

どうやら三蔵の様子がおかしい―――








「寒いな
おい暖房ないのか」


「ありませんよ
しかも今日はこんなに暖かいじゃありませんか」


「そうか
ゾクゾクするんだがな」


「悪寒じゃねーの?」


「違うな」


「何だろうね」









しばらくした後
どうも惷香の風邪が移った事が判明

悟浄はここぞとばかりに








「風邪移る様な事でもしたのかよ
え?三蔵様よォ」


「ぶっ殺すぞ…
ゲホッゲホッ!」


「まぁまぁ
次の街はもうすぐですから少し我慢して下さいね」


「三蔵…ごめん
俺………」


「何でてめェが謝んだよ」


「だって……
だって俺桃缶全部食っちまったんだもんよッ!」


「………馬鹿猿決定」


「悟空それは関係ないよ
あ、そうだ
これ薬」









悟浄がくれた薬を三蔵に渡す








「あ、それ俺が惷香の為に買った薬!
生臭ボーズに飲ませる薬じゃねーンだけどなァ」


「悟浄
意地悪言わないの」


「そいつが用意した薬ならいらん
触角が入っていたらどうする」


「三蔵ッ!」


「ご立派な三蔵様は自力で風邪も治せるんだとよ!
な?だから薬なんかやる事ないって」


「三蔵も意地を張らなければいいじゃないですか
悟浄も煽るからいけないんですよ?」








不機嫌な2人を乗せてジープは次の街へと急いだ


その後三蔵の首にはネギが巻かれ
こめかみに梅干しが付けられる事となるが
それはまた


違うお話――





風邪・fin

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