八拾参


あの後
あの【神様】を名乗る男は見つからず


金閣の遺体を埋葬して山を下りた


宿に戻ってからは
まるで何事もなかったかのように振る舞う悟浄の姿が





妙に不自然だった…




その夜
いつもとは違い大人しく悟空との相部屋を文句も言わずに悟浄は寝ると入って行った








あの時気付いてあげていれば良かったのかもしれない――









夜が明け悟浄を起こしに行くと


悟浄と悟浄の荷物は消えていた







三蔵は昨日言った通りに昼にはこの町を発つの一点張りで
待つつもりも
探すつもりもない様子が逆にギスギスして見えた








次の町に着いたのは夕方過ぎの頃
夕飯を早めに済ませた後タバコを吸う三蔵がライターを要求した








「…………
おいライター……」


「「「「……」」」」










ライターを持つ人間が今はいない

買い物の荷物を運んでくれる人も
喧嘩相手も
惷香の肩を抱き寄せる人も








今はいない―――








夜に宿屋に戻り
この先のルートを相談した







「そうだな
余計な手間さえ取らなけりゃ
何の問題もない」


「問題ない…
ですかね」


「何だ」


「いいえ別に?
…それより
ちょっと吸いすぎじゃあありません?
真っ白ですよ
部屋の中」


「窓開けりゃいいだろうが
コーヒー」









三蔵は八戒にカラのマグカップをグイッと見せる









ドン!










目も笑わずに八戒はテーブルにコーヒーを
コーヒーポットでテーブルに力一杯置く








「どうぞ」


「………おい
言いてぇ事があるなら……」









.

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