七拾参


「毒…だって?
三蔵!!
さんッ…」


「――てめェ…!
ナメた真似してんじゃねーぞ
カマ野郎!!」









悟空は三蔵を抱き抱えたまま呼びかけ
悟浄は妖怪の肩を掴んで揺すったのだが
もう妖怪は出血多量で死んでしまっていた…


フと悟空を見ると
悟空は三蔵を抱えたまま微動だにはしなかった








「…おい
こいつまた暴れ出すんじゃねーか?
六道ン時と同じシチュエーションだぜコレ」


「悟空――」









悟浄と八戒を余所に 悟空は真っ直ぐな眼で八戒に三蔵がどうすれば助かるかを尋ねた



六道の時とは違い

悟空も強くなったのだと八戒も惷香もクスッと笑った


その時大きな地響きが起こり
先程地下牢からの脱出で壊した壁が原因で砂の下にある建物が砂に飲まれ始めた

惷香は慌てて部屋を捜し
三蔵の経文を見つけると八戒に視線を向ける








「八戒!ありました!」






八戒はコクリ…と頷き気功で崩れ落ちる砂から皆を守り始めた








「生憎頭上しか守れませんからねッ
足元埋まらない様に注意して下さい!!」


「注意ったって…うわッ
八戒が埋まっちまうじゃねぇか!」









膝上まで来た砂に成す術





もないまま大きな岩が頭上目掛け崩れた








―もう助からないかと思った時










ゴウ――……










赤い風が辺りに吹き荒れ
頭上の建物から砂まで全て消え去った――








「止まっ…た…」


「大丈夫か?」


「何とか…
それより今のは?」


「やはり貴様らか」







.

[ 83/201 ]

[*prev] [next#]
[目次]
[栞挟]
書物一覧に戻る



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -