弐拾八


その日惷香は三蔵達の泊まる部屋の1室を借りて寝る事となった


部屋の布団で独り
これからの事
そして【心残り】について考える





確かに本を読み
あの4人の登場人物を見て懐かしさを覚えた




だがそれだけでしかない

誰かに似ていた性格かもしれない

アニメや本やゲームの登場人物に似ていただけかもしれない


そう考えると
あの4人に【心残り】が関係しているとは到底思えなかった






惷香は布団の中で寝つけずに寝返りを右 左と動く




布団を鼻まで被せ
早く寝ないと
と目を瞑っても
頭も目も冴え寝付けない



ムクリと重い身体を起こし
窓辺へと近づく



月が明るい――



宿屋の裏手には木がいくつか生えており
その木の隙間から月が明るさを醸し出す








「何か懐かしい…」








そう思った時惷香の眼に


揺れるカーテン
風で靡く桜の木

夕暮れを待つ白衣の自分が頭の中で残像の様に映し出された―――









「え、何?
映画の記憶…?」









右手で頭を押さえヨロリと足元がふらつく








「はァ…な…に?
この頭に過るのは……」








疲れているんだろう
単純にそう思った

無理矢理目を瞑り
夢の中へと吸い込まれる







.

[ 32/201 ]

[*prev] [next#]
[目次]
[栞挟]
書物一覧に戻る



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -