壱
西暦20XX――
ここは現代世界
とある町で産まれた少女は
その日いつもの様に町から1里離れた林のその奥にある
お気に入りの草原にて
本を読むのが日課だった
その少女の名は惷香
黒い長い髪に黒い瞳
色白の肌は 本の虫だと言うもが
よく分かる程である
惷香は寡黙だと
町では皆口を揃えて言う程人付き合いも全くない
家族も惷香が幼い頃に交通事故で亡くなり
以後は1人で細々と親の遺産と自給自足で生きて来た
そんな彼女はこの草原で寝転んで本を読むのが好きで よく町の本屋で新しい本を買っては
この草原で読んでいたのだった
この日
彼女が読んでいた本は
僧侶に3人が護衛となり 西に旅をする
と言う物―――
惷香がこの本を本屋で見た時
取りつかれたかの様に無意識の内に手に取り
会計を済ませていた
そして いつもなら草原に着いてから本を開く物を 歩きながら
居ても立ってもいられない衝動にて読み出した程であった
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