弐拾五


「とても手際も良くて
慣れていらっしゃるんですね」








八戒が惷香にニコリと微笑む

元々独り暮らしで家事全般は得意な惷香には簡単な事だった








「いえ大した事ではありませんから」








と恥ずかしそうに言う








「何言ってんだよ!
料理が上手いヤツはいいヤツなんだぜ!」








悟空は口一杯に頬張りながら力説する








「あ、テメ…!きったねーなー!
呑み込んでから喋れってんだ!」








アッと言う間に料理もなくなり 食後のお茶を飲みながら八戒が惷香に尋ねる







「惷香さん
早速ですが 貴女がこの国に来た経緯は気絶している時にはあそこの森の奥にいたんでしたね?」


「あ はい」


「街で話を聞いても貴女の街を知る物もいなく
貴女もこの辺りの事は全く知らない と」


「はい…」


「おかしな話ではありますよね
もし誰かに連れて来られたにしろ
自分の村がある地域
もしくは国自体が離れる程移動させられるとは…」


「え、どういう事?
惷香は本当にこの辺り分かんないの?」


「はい…」


「他におかしな事や気になる事はありますか?」


「えっと…
あ、本」

「本?あ、これですね」








八戒は惷香の本を渡した
惷香がその本をパラパラっとめくり 顔を上げた








「実はこの本…中身が消えてるんです」


「どういう事ですか?」


「多分誰かに私の本とこの真っ白の本をすり替えられたんだと思うんです
私が持っていた本は……あ」









本の説明をしようと思った時思い出した




この本の登場人物と この世界が同じ事なんだと――








.

[ 28/201 ]

[*prev] [next#]
[目次]
[栞挟]
書物一覧に戻る



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -