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「#エロ」のBL小説を読む
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ふふふ。そんなこんなでやってきました旧男子寮。
けどなんか汚いし怖いです。お化けでも出そう。
……あ、ターゲット発見。


『ヘイboy!』

「あれ、毬花。ずいぶんご機嫌だね」

『うん。鍵もらったんだ』


あたしが来たのとタイミングよくやってきた雪男に、緩む頬を隠しきれずに塾の鍵をつまんで見せる。
自分はすでにそれを持っていて、なんら珍しいものではないはずなのに、よかったね、と優しく微笑んでくれる君がほんとにいい人だっていうのが痛いくらい伝わってきます。
でも穏やかな表情で頭撫でてくるのは、そんなつもりはないんだろうけど、子供扱いされてるみたいで少々いただけないな。


「あぁ、そうだ。せっかくだから部屋の片付け手伝ってくれない?」


と、ふと思い出したように頼んできた雪男。
あまり突発的だったから少しばかり驚いたけど、今日のあたしは気前いいし、特に用事もないから二つ返事をした。
自分の方はもう片付いてるし、雪男もきっと何かと忙しいだろうからね。


『今日は機嫌いいから手伝うよ。……あ、荷物とか大丈夫? エロ本とかない?』

「ないよ!」


ちょっとからかってみると、案の定雪男は顔を赤くして否定した。堅実な彼らしい反応に、思わず小さく噴き出してしまう。
でも、これはこれでかわいいけど、これくらいの年の男子なんだからエロ本の一冊や二冊持っててもおかしくないのにね。別に気にしないし。……あ、でもそんなの持ってたら持ってたで驚くかも。あの雪男が? って。
照れ隠しなのか、さっさと部屋のドアを開けて足早に中へ入っていく雪男。
手で促され、後に続いて中に足を踏み入れると、そこは長い間放置されていたようで、かなり埃っぽく汚れていた。物理的にもそうだが、空気までも湿っぽく淀んでいる。


『うわぁ汚ない』

「まぁ、旧男子寮だからね……」


なんだか薄暗い部屋を見渡していると、足に何かがあたった。視線を落とすと、これまた少し埃っぽい床に、そんなに多くはない段ボールが置かれていた。たぶん雪男の荷物だろう。
数からして1人で片付けてもそんなに時間はかからないのではないかと思われたが、この部屋となれば話は別。雪男がわざわざ手伝いを頼んできた理由がわかった気がした。
……うん、これだけ汚かったら、やっぱりまずは部屋の掃除からだわ。

ということで、とりあえず掃除を行うことにしたあたしたちは、手始めに窓枠を綺麗に拭いて、ベッドの上に畳んで置かれていた布団やらをそこに干していった。
さすがに布団叩きはなかったので、手近にあった塵取りで叩く。バフバフと埃と共に起こる大きな音にかき消されてしまわないように、いつもより声を張り上げて雪男を呼んだ。


『雑巾ある?』

「もちろん。そこに」


あたしに気を使って同様に声を張った雪男が指差したところには、ちゃっかり2枚の雑巾が置いてあった。ちょっと呆れて布団を叩く手が止まる。
まぁ、用意がよろしいことで。
とは口には出さず、手分けして床の雑巾がけをすることに……


「そう言えば、制服似合ってるね」

『ありがとう。さっき理事長にお披露目してきたところ』

「じゃあ僕は2番目か。残念だな」

『またまた、そんなこと言っちゃって』

「結構本気で言ったつもりなんだけどな。それより制服汚しちゃわない?」

『あー、大丈夫大丈夫。たぶん』


そんな他愛もない会話を響かせながら、部屋はだんだん綺麗になっていった。
雑巾を絞っていたら急に目の前を飛んでいった羽虫に驚いたり、膝をついて床を拭いていたらふいに手もとを横切っていったゴキブリに悲鳴をあげたりしながらも、教室みたいに広いわけではない部屋の雑巾掛けはすぐに終わった。
だが掃除するのは床だけじゃない。家具なんかもいろいろ埃を被っているし、壁も結構汚れてしまっていた。
とりあえず部屋中を掃いては目についたものを拭きまくった。

そんな感じで大晦日並みの大掃除を終えると、やっと最初の目的であったはずの段ボールのガムテープをはがして荷物の整理を始めたのだった。


『荷物少ないね。あ、これどこー?』

「毬花がいてくれて助かるよ。それは机の上に置いといて」

『んー』





その後はてきぱきと片付けをこなして、1時間程度で終わらせることが出来た。トータルで3時間弱くらいだろうか。
やっぱり2人でやると早いね。どっちにしろ大変だったけど……とくに掃除が。


『つ、疲れた……』


久しぶりにたくさん動き回ったせいか、かなりの疲労を感じた。中学を卒業してからの少し長めの春休みで体がなまっていたこともあり、なおさらだった。
椅子に座って、机にうつ伏せる。
あぁだるい……


「お疲れ様。何か飲む?」

『いい。眠い……』


雪男の気遣いは嬉しいが、突っ伏したまま首を横に振る。
全部終わったら一気に疲れが出てきて、もう何もしたくなくなってしまう。さらには眠気まで襲ってきて、もう腕の一本を動かすのでさえ億劫だ。
そう言えば昨日も夜更かししちゃったなぁとか、たまには早く寝なきゃなぁとか思いながらも、瞼はどんどん下がっていく。

やっぱり不規則な生活はよくないと思ったけれど、結局睡魔には勝てず、重い瞼は重力に逆らうことなく閉じられた。





夜更かしはしないが吉。



(毬花?)
(すぴー)
((寝ちゃったか……))


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