好きな子に見られた
あぁ、ほんとに今日はついてねぇ。マリカにこのクソ恥ずかしい格好を見られた。
確かにこれは仕方ないことだろう。クラスは一緒だし、マリカは王子役だし。
もしも仮にクラスが違ったとしても学園祭の日には結局見られる。
でも心の準備ってもんがあんだろ? 今回はいきなりばったり、だったしよ……あーめんどくせぇ。
俺はやけくそになりながら白雪姫のカツラを被った。
『ボリスウケるよ! うん、似合って……るのかな?』
「俺に訊くな」
マリカはいかにも王子様らしい金髪のカツラを被っていた。なんか……違和感が無いっつーか、似合ってる。
俺なんか黒のサラサラボブなのに。その上にリボンだぜ。恥ずかしいったらない。
俺がこんなに気にしてるっつーのにマリカはガラスの棺の上に座って金髪をつまんでいる。考えるのもアホらしくなって、仕方なくカツラの上からリボンをつけた。
「はい、みんな早くやっちゃお!」
コプチェフの言葉にクラスの奴らは各持ち場についていった。
『王子様は最後の方まで出番無いから、頑張ってね白雪姫』
「あーもうほんと役代われよ」
『そんな無理なこと言わないのー』
マリカは王子様スマイルで舞台袖に戻っていった。
白雪姫なんてお前の方が似合ってるに決まってんじゃねぇか。
(ボリスどうかした?)
(なんでもない! 早く始めろ監督!)
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