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可愛いとか言うな!


「なんなんだよその目は」


今、俺の目の前には小道具やらをいろいろと持ったキレネンコが立っていた。そしてガン見されている俺は白雪姫のドレスを着ている。

今回のリハーサルは役者は衣装を着て、小道具や大道具も使い本番と同じようにやることになっていた。全部通してやるから、途中で止めることもない。

で、ジャージから衣装に着替えたところにこいつが来たってわけだ。なんかこう……憐れむような、鼻で笑うような表情して俺を見ている。
わかる、わかるぜ、お前の言いたいことくらい。マリカが着た方が似合うって言いたいんだろ? お前マリカのこと溺愛してるしな。
でもその目は酷くねぇか?


「ボリス着替え終わった?」


キレネンコに対抗する視線を向けていると、待ちくたびれたコプチェフが舞台袖に入ってきた。あぁ、と返事をする。


「いつ見ても似合ってるねぇ」


からかうようにニヤつきながらコプチェフが言ってくる。俺はため息をつきながらコプチェフの横を通りすぎて言う。


「もうリハーサル始めんぞ」

「はいはい」


コプチェフは生返事をしながら舞台の方から下りて、真ん前に置いてある椅子に座った。
マジで監督気分だな。衣装係のくせに。

授業の始まりのチャイムがなると、あいつはクラスの奴らにリハーサル始めるよ、と声をかけた。
なるべく平常心を保とうとポーカーフェイスを装う。大丈夫だと自分に言い聞かせる。
うん、大丈夫だ、恥ずかしくない。

だがそんなんで気が紛れるわけもなく、こっそりと舞台に移動して目立たないように配置についた。
……つもりだった。


「わーボリス可愛いじゃん!」

「あははっ似合わねー!」

「ウケる! 可愛いよ!」

「だー! てめぇらうるせぇ! 可愛いとか言うな!」


この衣装で目立たないようにするのは無理らしく、舞台に移動した瞬間からかわれた。
あーもうほんと嫌だ。





(みんななに笑って……ってボリス?)
(っ!?)

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