「決行するのは今日の放課後」






「放課後…?」






「そう。ユウと憂ちゃんが違う人って想わせるには同じ時間に居るとこを会長に知らせればいいんだよ。それに、俺、実は帝さんにはユウを見つけたら報告するよう約束してるんだ。」




だからあの時も現れたのか…偶然だと思っていた…。



「でも、俺は一人しかいない…同時なんて出来ないよ」


「そうだね。けど、生徒会以外はきっとユウを詳しく知らないから偽物だろうと気づかないよ。特徴さえ一緒であればそれはみんなにとってユウだ。会長が来る前に本物と入れ替われば会長にもバレないよ。」



「まさか…」


「そう。水野くんと憂ちゃんはそんな身長変わらないから鬘とカラコン付けて憂ちゃんが会長に逢ってる間に下に現れる」



「待てよ、それ別に真哉がやらなくてもただ単にあいつにお前が嘘の報告すりゃいーじゃねーか」

「確かに。でも、嘘の報告はバレやすい。会長はそうゆうの鋭いし、会長が見あたらなくなったら確実に周りに聞くだろ?『ユウを見たか?』って。それでもし、バレたら俺の信用を失うと同時に俺が今、ユウと繋がりがあることがわかってしまうかもしれない。そしたら会長は確実に俺のここ最近の行動を探る。そしたら憂ちゃんだとバレるのは時間の問題だよ。」



「別に会長気づかないんじゃないのお?」

「水野くんは帝王を舐めてる」

「別に、そうゆう訳じゃ…」


「…ジュン、威嚇するなよ。慣れてない奴にはそれはきつい。」

「あ、ごめんね」

「…いや、大丈夫、」




真哉が少し怯えた

ジュンは情報屋だけど非戦闘員ってわけじゃなかった。


ジュンは拳を交える前に敵を威嚇していて大体の敵に勝っていたとうのだから、怯えるのは無理もない。






ジュンにとって帝さんは一番尊敬する人だから。

何があったかは聞いていないが




「不特定多数の生徒にバレたらどーすんだ?」

「そこんとこは大丈夫。俺が手を回して ユウが現れた という噂を地味に起こさせるから。ちゃんとユウを理解してない奴はユウだと信じこむよ。所謂洗脳に近いものだよ」


「…ジュン、信じて大丈夫か?」
「うん…任せて。帝王には渡さないよ」



素敵な笑顔。
いっている言葉に驚く。


それは、帝王に背くことになるんじゃないのか…?




「本当に大丈夫なのか?」

「うん。神田くんにはトイレの見張りをしてもらう」

「トイレ?てか、俺?」


「万が一帝さんがトイレに来たときに足止めしてもらいたいから」


「怪しまれないか?」



「帝さんの勘はするどいから油断はできないけど、俺を信じて」

「…わかった。」

「憂ちゃんの為なら協力してあげるよ」

「ありがとう。みんな」


みんなが、俺のために頑張ってくれる。なんとしてでも成功させなくちゃ…。




「まず、憂ちゃんは帝さんと逢ってくる。ストレートにユウか?とは聞かれないはずだから、聞かれても適当にごまかして時間を潰して」

「わかった」


「その間に水野くんには変装して下の共同フロアに現れてもらう」

「了解」




「現れて暫くしたら俺が帝さんに現れたって連絡するから。帝さんは絶対逢いに下におりるから憂ちゃんは会長と一緒でいいから降りてきて」


「え?一緒でいいの?」

「降りた後すぐ別行動とってね」


だよな…
じゃなきゃ意味ないよな



「そして2人はトイレで落ち合って交換」



「交換した後は?」

「水野くんたちは先にトイレから出て部屋に戻る。」



「俺は?」

「帝さんと逢えばいいよ。ただし、クラスとか眼鏡とか細かいことは話さなくて良い。それに、長居は無用だよ?」

「わかった」


「あと、連絡先は教えちゃだめ」
「なんで?」


「憂ちゃんとユウの同時呼び出しだけは避けたいから。」


「わかった」




ゴーンゴーン…




「あ、鐘鳴った」

「あ!飯食い損ねたぁあ!」

「うわー!」


「ごめんねー」


悪びれる様子はない。
だが俺のために昼休みを費やしてしまった……。



「戻るか」

「そうだね」




部屋から出ようとする俺たちに対してジュンは座ったまま。次は授業があるはずなのに。




「あれ?教室戻らないのか?」

「うん。これから仕事」

「そうか、ありがとな」


深追いはしない。
してはいけない。
ジュンはそういう仕事をしているのだから。






「………姫のためならば」


ジュンは立ち上がって手を胸に当てて腰を折った……まるでどっかのお嬢様に仕える従者のように…。



「…ばか」


その扱いの丁寧さに恥ずかしさを感じた。
少し頬があつい








「本当に可愛いんだから」


憂たちが去った扉を見つめて呟く





「帝さんには悪いけど。俺の一番はユウだから…」



広い部屋に一人の声が響いた














「姫ってどうゆう意味だ?」


怜が部屋を出た直後に聞いてきた



「あぁ、あれはふざけて呼んでんだよ」

「瀬川くんが?」

「いや、一時期帝さんとかも呼んでたよ?」


「…」


「でも俺が真剣に嫌がって呼ぶのやめなきゃもう話さないって言ったら帝さんと副会長はすぐやめてくれたよ」



「…(会長たちが……?)」











――――――――――……






これが昼の話し合いの内容



ジュンが考えてくれた計画は以上の通りだ。





ジュンがサポートしてくれてんだからこれが失敗するわけがない





トイレで服を交換していると入り口から会長の声が聞こえた











「おい」


「んだよ」

「お前何してる」

「真哉を待ってんだよ」

「誰か、こなかったか?」




「あ?」






怜が足止めをしてくれている



「やばいっ早く着替えて」


「真哉は先行ってて良いよ」

「わかった。憂ちゃん。乗り切ってね」

「うん。ありがとな」





先に真哉がでる
俺は急いで服を着替えて鬘を被る




「怜ごめん」

「おせーよ」

「そんな待ってないでしょ。あ、会長じゃないですか」




「…ユウをを見なかったか?…田中憂じゃない…」


「あぁ…、入ってたかな」

「ほんとかっ!」

「てか、憂ちゃんになんかしてないでしょうね?」


真哉は上手い。
深く聞かれる前に話題を変えた。
だが変更した話題は俺にとって安心できるものじゃなかった。




「…本人に聞けばいいだろう」


楽しそうな声




着替え終わったが…出ずらい雰囲気だ。



「本人に聞いたって教えてくれないことだってあるじゃないですか」

「まぁそうだな。今回の事は特に言わないだろうな」


「…何したんですか」

「…美味しく頂いたとでも言っておこうか?」


っ!なに言ってんだあの人!
最後までヤったみたいな発言じゃねーか!


俺はキ、キスしか、していない!





「おいてめぇ」



怜が唸る



「まぁ詳しくは本人に聞いてみな。答えるかわかんねーけどな」

「チッ」


「…構わないでって言ったのにっ!もうっ!いこっ怜!早く憂ちゃんに聞きにいこ」



…帰ったら洗いざらいはかされるんだろうな……。
会長のバカ!言わないでくれって言っときゃ良かったな………聞いてくれるかわかんないけど…。




2人が去っていったのを見て俺はトイレを出た



入り口には帝さんが待っていた