Metempsychosis
in Summon Night 3

護人さん達と初めましてな話

とても素敵に立派なもふもふを持つ獣人は、ガリガリと頭を掻きながら物凄く面倒臭そうにヤッファと名乗った。

それににっこり笑顔で自己紹介を返したフィエラは、今、不思議な雰囲気の泉に設けられた集会所?のような場所で、何とも不思議な面々に囲まれていたりする。

フィエラがきょとりと瞬く中、不思議な面々の中での唯一の女性ーーー整った顔に掛けられた細身のフレームの眼鏡が知性を感じさせるーーーが口火を切った。

「機界集落ラトリクスの護人、アルディラ」
「鬼妖界・風雷の郷の護人、キュウマ」
「さぷれす・冥界ノ騎士、ふぁるぜん」
「幻獣界・ユクレス村の護人、ヤッファ」
「四者の名の下、此処に会合の場を設けます」

女性…アルディラが最後に凛と告げたのを切欠に、ヤッファがこれまでにフィエラに訊いた事情と自分が発見した時の状況を簡潔に説明する。

「なるほどね…」
「では、間違いなさそうですね」
「アア、ヨバレテシマッタノダロウ…喚起ノ門ノ、暴走デ…」

何やら結論に到達したらしい様子でキュウマ(銀髪…白髪?ににょきっと2つ生えた角は間違いなく鬼人だろう)とファルゼン(重厚な鎧から生身の肉体は窺えない事等から依り代としているのだろうと察するが、それ以上は不明だ)が訳知り顔で頷き合う。

当然フィエラには理解出来ず、更にきょとりとするばかり。

そんなフィエラに気づいたヤッファが、やはり面倒臭そうに説明する。

その説明で知れた事は、メイトルパで平穏な日々を送ってきたフィエラからは余りにかけ離れていた。

召喚術の実験という人間の勝手でこの世界…リィンバウムに召喚され、そのまま還される事なく島ごと見捨てられた、はぐれ者達の島。

召喚師の死に絶えたこの島に、還る術は…………ない。

つまり、

「では、私も…」
「残念だけけど…」

辛い現実を突きつけた後ろめたさからか、アルディラが言いにくそうにしながら肯定した。

他の護人達も、さぞかし辛いだろうと、掛ける言葉に迷う。

が、

「あらあら、困ったわねぇ」

フィエラの反応は実にのほほ〜んとしたもので、護人達の方が驚いた。

ふんわりと柔らかな雰囲気に似合わず、フィエラは結構強かであったのか。

「困ったわって…おい…」
「はい?」
「や、もうちょっとあるだろうがよ。こう…」
「あら?びっくりしているのだけれど…」
「どこがだよ…」
「「「…………はぁ」」」
「???」

思わずツッコんだヤッファにも、やっぱりのほほんとしたままで、終ぞ辛そうな様子は見られない。

いや、かと言ってわんわんと泣かれても現実が変わる訳でもメイトルパに還れる訳でもないのだが。

とりあえずフィエラののほほん具合に力が抜けたヤッファを筆頭に、他の護人にも揃って嘆息され、フィエラは1人で首を傾げていた。




執筆 20110502

ユクレス村にお世話になります。

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