Metempsychosis
in Summon Night 3
始まりの話
大往生の末に安らかに天に召された筈の多岐は、なんの運命かメイトルパという世界の妖精へと輪廻転生を遂げた。
妖精と聞いてお気付きの方も多いだろうが、大変長寿な種族である
そんな多岐がフィエラと名付けられて幾星霜。
生まれた年月を数えるのはもう止めて久しい。
フィエラは大変(時々争いもあったが、本人は極めて)穏やかな日々を、生前と何ら違わずにのほほんと過ごしていた。
今日も今日とて、自然豊かな世界であるメイトルパの広大な草原に足を運んでいた。
暖かな日差しを柔らかく受ける巨木の傍に座り、慈しむような風に撫でられる。
自らを育んでくれたそれらに感謝すると同時に嬉しくなって、自然と歌を口ずさんでいた。
何の事はない、ただの歌…ーーーー…今となっては懐かしい、花の童謡だ。
しかし、辺りに響く柔らかな歌声に誘われてか、気づけばフィエラの周りにはプニムやテテといったメイトルパの【小さな家族】が集まっていた。
暖かな陽に、歌に、何よりも居心地の良いフィエラの傍にいる事で芯から安心して微睡んでいる【家族】に、フィエラ自身も満たされる。
ーーーーー穏やかで、幸せ。
そんな日々が、ずっと続くと…そう思っていたのだ。
フィエラだけではなく、誰もが。
しかし、それは脆く呆気なく壊され、泡と消えた…ーーーーー…フィエラが何者ともつかない『何か』に召還された、その日に。
執筆 20110421
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