Metempsychosis
in Tales of Graces f
Riconciliarsi
これは、どうしたらいいのだろう?
シェリアと共に、アスベル達によって無事助け出されたフィエラは、うーんと悩んで小首を傾げた。
「俺達が間に合わなかったら、死んでいたかも知れないんだぞ!」
「私だって……好きで捕まったんじゃないわ!フィエラさんを巻き込んだのは確かに悪かったって反省してるけど、人の気も知らないで、怒鳴らなくてもいいじゃない!」
この通り、2人の喧嘩が始まってしまったのだ。
フィエラはきょとんと小屋の前に立ち尽くした。
「まぁまぁ2人とも。無事だったんだから良かったじゃないさ」
「「良くない!」わ!」
初めて見る女性が仲裁を試みるが、揃って全面否定されて終わる。
仲良しだ。
その後も仲良く喧嘩する2人の横を通って、マリク達が立つ方に向かう。
以降、副音声でお送りします。
「お手数をお掛けしました」
「どれだけ心配したと思ってるんだ!」
「いや、巻き込んだのはこちらの方だからな。怪我もなくて何よりだ」
「それはこっちの台詞よ!そもそもアスベルが心配で様子を見に行ったら、そこに…」
「ええ。ありがとうございました」
「大体、再会してからずっとよそよそしい態度で……」
「じぃ〜〜〜…」
「……アスベルが悪いんだから。全部、アスベルが悪いんだから!」
「あら、初めてお会いする方ですね。初めまして、フィエラです」
「いつだって勝手にいなくなって…」
「はっじめまして〜!あたしはパスカル。パスカルって呼んでね。あたしもフィエラって呼ぶから!堅苦しいの苦手だから、敬語もやめてもらえるとうれしいなぁ〜」
「……どうして7年間、一度も帰って来てくれなかったの!待ってたのに……ずっと、待ってたのに……」
「あら、そう?分かったわ、パスカル」
「会いに行きたかった…。でも、迷惑なんじゃないかって、そう思ったら…行けなくて…」
「それでさぁ…フィエラにお願いがあるんだけど〜…」
「ごめん…。…騎士になるまでは帰れない。そう思ってて…」
「およ?終わった?」
パスカルがフィエラに何かを言おうとした所で、2人の喧嘩も収束し始めたようだ。
「いいねぇ、幼なじみ」
「だな」
「ふふふ」
「…?」
会話と自己紹介をしながらも、しっかり2人の喧嘩を聞いていた野次馬4人(ソフィが含まれるかは、非常に微妙な所ではあるけれど)を、シェリアがキッと睨みつけた。
「からかわないで!アスベルみたいな鈍感な奴、どうでもいいんだから!」
「ぷっ……」
シェリアがぷいっと背を向けるのを見て、アスベルが吹き出して笑った。
「そうそう。シェリアはこうでなくちゃ」
「こ、こうって……な、な、な……」
「いいんじゃない、シェリア」
「肩の力を抜いてもいい頃だという事だな」
「……良かったよ。シェリアが全然変わってなくて」
照れくさいのだろう。
アスベルも頬を赤らめて言う。
「それに……上手く言えないが…、その…なんだ…、…無事で…良かったよ」
シェリアの顔が火を噴く勢いで赤くなった。
ぎこちなく視線を逸らしながらも互いを気にしているのが、見ていても分かる。
「2人は仲良しさんね」
「なかよし…」
フィエラが誰にともなく言うと、始終首を傾げていたソフィが徐に2人に近づいて言った。
「けんか、終わった?」
突然の言葉に、アスベルはきょとんと瞬く。
そして、その意味を理解して、
「けんか……、ああ、うん。終わった。なぁ、シェリア」
「え?……ええ、終わったわ」
「じゃあ……ともだち?」
「ああ」
「……ええ」
笑顔の2人に、ソフィも嬉しそうに笑いった。
「じゃあ、友情の誓い……」
ソフィが2人の手を重ね合わせれば、2人は自然と手を握り合う。
見つめ合う初々しい2人を、やっぱり野次馬なフィエラ達が微笑ましく見つめていた。
執筆 20110617
riconciliarsi = [伊]和解する
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