火山噴火による火山灰の影響で、日本の航空会社も飛行機の運行を見送り──
携帯電話のテロップから流れる速報に顔面が蒼白になる。
噴火国にいるわけではないが、確実にその影響を受けてしまい、飛行機が飛ばなくなった国の一つ、イタリアにいるのだから。
それも、帰国予定の今日、噴火に巻き込まれるとは天に見放されたも同然である。
私は先ず財布の中身を確認した。
旅行で訪れたため、後先考えず使ったそれはやはり心許ない金額になっている。
これから数日、飛行機が飛ぶまでホテルに泊まるか、飛行機が飛ぶ国まで移動するか。
どちらにしても異国で過ごすには厳しい現状だ。
──ともかく航空会社に問い合わせて、対応を待つしかないか。
溜息をはいて、空港の待合イスから立ち上がろうとすると、遠くから懐かしい言葉が聞こえた。
「沢田さんがプライベートジェットを飛ばすそうです」
「僕にわざわざ移動しろって?随分だね。何様のつもりだい」
──日本語だ!
異国で日本人に会えるとは幸運である。
慌てて荷物を持つと、巨大なキャリーケースをガラガラ鳴らして急いで彼等の元へ走った。